半導体材料を手掛けるテクセンドフォトマスクが16日、東京証券取引所プライム市場に新規上場した。新規株式公開(IPO)の規模としては今年2番目の大きさで、国内政治状況に対する不透明感が高まる中、投資家のリスク許容度を測る重要な判断要素となりそうだ。

  午前9時時点では差し引き約500万株の買い気配になっている。8日に決まった公開価格は3000円。オーバーアロットメントを含むIPOの総額は1566億円と、2025年では3月上場のJX金属に次ぐ高水準となる。カタール投資庁などグローバル投資家がIPOに参加した。

  テクセンドの上場は、国内政治情勢や米国と中国の貿易を巡る不透明感で株式相場が乱高下する中、IPOに対する現在の投資家マインドを表す事例になる可能性が高い。日本株相場全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)は、自民党総裁選で緩和的な財政・金融政策を志向する高市早苗氏が勝利したことを受け9日に終値での史上最高値を付けた後、いったん調整している。

  テクセンドを含め今年の国内IPO市場の総調達額は7912億円となったが、6年ぶりの高水準に膨らんだ昨年の9610億円は下回っている。今後のIPOを計画している日本企業には日用品メーカーのファイントゥデイホールディングス、SBI新生銀行などがある。

  テクセンドはTOPPANホールディングスのフォトマスク事業が会社分割で設立されたトッパンフォトマスクが前身で、トッパンHDとインテグラルの合弁会社として22年4月に事業を開始した。IPO業務全体を管理するジョイント・グローバル・コーディネーターはSMBC日興証券、野村証券、モルガン・スタンレー、BofA証券が務めた。

(第2段落に相場動向を追加します)

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