石垣島のビーチ。さすがの透明度(写真:EarthScape/イメージマート)
(立花 志音:在韓ライター)
「ママ、今日は児童センターが開くって先生が言ってた」
「え、そうなの? じゃあ今日の分の英語が終わったら、行っておいで。お昼は出るんでしょう」
今年のチュソク(秋夕)の連休は10月3日からちょうど1週間だった。でも、連休が明けた金曜日も小学校が臨時休校したため、我が家はなんと10連休になった。その休校日に、子ども2人が普段通っている学童保育が開くというので笑顔で送り出した。明日からまた週末が来るのだから今日は自分が休みたい。
秋夕とは旧暦で8月15日のことで、今年は10月7日がそれにあたる。例年は前後1日ずつの休みで3連休で終わるが、今年は10月3日が開天節と呼ばれる神話上の建国記念日、さらに10月9日のハングルの日も公休日になったため、超がつくほどの大型休暇となったのだ。
我が家では、ソウルから義弟家族が遊びに来て、3世代がみな集まり3日間を過ごした。子供たちも久しぶりに従妹弟に会えて楽しかったようだ。
一方で、韓国の空港には、まるで民族の大移動のように人が押し寄せた。仁川国際空港の出国者数は245万人超。地方空港を含めれば約281万人が出国した。行き先のトップは日本である。円安と格安航空の相乗効果により、日本は“近くて安い海外”として、韓国人観光客の圧倒的な支持を得ている。
大阪・東京・福岡・札幌を制覇した韓国人観光客は、次のターゲットを日本の地方や沖縄に定めている。筆者の知人の韓国人たちは「韓国人観光客の少ない日本」「韓国人のいないグルメ店」に行くことがトレンドになっている。
彼らの日本に対するデータベースは、四国や九州を訪れたことのない純日本人の筆者よりもはるかに詳しい。こちらがガイドをお願いしたいくらいだ。
韓国には、リゾートと呼べる島が実質的に済州島しか存在しない。しかし、コロナを経て、済州は「ぼったくり島」と言われるほど物価が高騰している。ホテルの宿泊費はソウルを上回り、人気カフェではコーヒー1杯が1万ウォンを超えるらしい。
芸能人が移住したり店を開いたりして、異常なほど観光地化が進んだ。そのうえ不動産投資も重なって、地価までも高騰した。最近は韓国人のあいだでも「もう済州には行かない」という声が増えている。
そんな中で注目を集めているのが、日本の離島である。飛行時間はわずか2時間強。円安の今、宿泊・飲食費は韓国国内旅行より安く、海の透明度も段違いだ。治安がよく、街並みも清潔でSNS映えも申し分ない。
こうして韓国人のレジャー志向は、「都市観光」から「自然リゾート」へと静かにシフトしている。つまり、済州島の代わりに沖縄などのリゾートアイランドに行きたい人が増えているのだ。
この流れに拍車をかけたのが、韓国LCCのジンエアーである。
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