私は「きなこ」のファンなのだが、イマイチ「きなこが好きだ!!!」と大声で叫べないのは、正確にはピンポイントで『ナンメのきなこ』のファンだからだ。ナンメのきなこ以外は認めていないと言っても過言ではないだろう。

『ナンメのきなこ』は島根県の南目製粉という企業が販売しているきなこで、私の出身地である鳥取県を含む山陰地方で広く流通している。「♪ おいしいきなこはなーんーめ」というおなじみのCMソングは島根・鳥取両県民の耳にこびりついて永遠に離れない。

今日は私が「日本一うまいきなこ」と断言する『ナンメのきなこ』の魅力について、皆さんにお伝えしたく思う。当然ながら島根県出身の佐藤記者も加勢してくれるに違いない!

・日本一うまいきなこ

実は『ナンメのきなこ』には『青豆粉』と『きな粉(白きなこ)』2種類があって、私が日本一だと断言するのは『ナンメの青豆粉』のほうである。青豆粉と書いて「きなこ」と読ませるのがナンメ・スタイル。

『ナンメの青豆粉』は『ナンメの白きなこ』と比べて50円くらい高い。今回購入した鳥取県内のスーパーでは税込235円だった。

青豆粉と白きなことでは一体何が違うのか? 白きなこの原材料が普通に「大豆」なのに対し……

青豆粉は「青大豆」でできているのだ!!!

・島根の生んだ奇跡

大豆は大きく黄大豆、青大豆、黒大豆に分かれていて、一般的に「きなこ」として出回っているのは黄大豆を使用したもの。

ご覧ください……この思わず二度見するほど圧倒的な色の違いを!!!!

こっちが白きなこで……

こっちが青豆粉。

ね!? 全然違うでしょう!!!

青大豆きなこは「ウグイスきなこ」とも呼ばれ、意識高い系の和菓子などに使われているのをたまに見る。が……どんなに高級なきなこ菓子も、やはりナンメの青豆粉の敵ではない。そう私は思うのだった。

まぁ、これには祖母の教育方針(?)によって、幼いころから「ナンメの青豆粉以外はきなこじゃない」と自動的に思い込んでいたことに起因する思い出補正も若干あると思われる。とはいえ、ナンメの青豆粉が呆れるくらいウマいことは確かだ。

島根出身の佐藤記者に同意を求めてみよう! 佐藤さん! 我々、ナンメでしか満足できない身体ですよね!?

佐藤「ナンメのきなこは分かるよ。でも、そもそもきなこに感心がない」

・だんごレシピ簡単すぎ問題

「CMソングはよく覚えているが、特に意識してナンメを食べたことがない」と、つれないことを言う佐藤記者。ウチの実家はナンメ一択だったので、山陰の家庭は全部そうだと思い込んでいたのだが、少なくとも佐藤さんちにその感覚はなかったようだ。

ただ、南目製粉の社長さん(当時)が佐藤さんの母校の先輩かつ同じ軟式テニス部であったらしく、高校生だった佐藤さんは直接激励を受けたことがあるらしい。当時18歳の佐藤青年は「あのナンメの社長さんが先輩だったのか、へ〜!」と思ったのだそうな。ええ話や。

さて南目製粉といえば『白玉だんごの粉』も有名である。250グラム入り税込408円。実家には「だんごは祖母が作るもの」という掟があったので、私はだんごの作り方を知らない。よって今日、初めて作ってみようと思う。

用意するのは粉と水……それだけ。

え、そんだけ!?

粉と水をボウルに入れてコネコネ……

それっぽく形成すれば完成だ。だんごって、こんな単純な仕組みだったのか〜。

ゆで時間については「浮きあがったら」と記載されている。だんごが水に浮くなんてこと、ある?

浮いたァーーー!!!!

調理時間10分。人生初のだんごは死ぬほどあっさり完成した。こんなに簡単ならもっと早く作ればよかったな〜。

・食べさせてみた!

ナンメの青豆粉に砂糖と塩を少々混ぜ、だんごに付ければ『きなこだんご』のできあがり!

う〜ん、おばあちゃんを思い出す! なおナンメの白きなこも当然おいしいのだが、そっちはまぁ想定内というか、普通に「きなこである」って感じの味。対して青豆粉はより上品で、奥深くて、青々しい味だ。

青大豆そのものを食べたことはないが、『青豆粉』というネーミングが非常にしっくりくる。きなこでありながら「きなこ」の枠にとらわれないもの……それがナンメの青豆粉。

そんなナンメの青豆粉と白きなこを、ナンメ経験者の佐藤記者と初見の古沢くんに比較してもらおう。

どう? きなこに対する価値観が変わりましたか?

2人「どっちでもいい。しいて言うなら白きなこが好き」

……おそらく量産型のきなこに慣れ親しみすぎた2人の舌は、不幸にも量産型きなこにテイストが近い『白きなこ』のほうを「おいしい」と判断したらしかった。え、かわいそう! 『青豆粉』のおいしさを理解している身の上がありがたくて仕方がない! 

決して負け惜しみとかじゃなく!

その後、古沢くんが「うまいうまい」とだんごを完食してくれたため、私のやるせない気持ちも幾分はおさまった。本日10月6日は十五夜。キレイな月が見られるかどうかは地域によるが、みんなもだんごを食べながら夜空を見上げてみてほしい。

機会があったらナンメの青豆粉もよろしくね!

参考リンク:南目製粉
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

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