米国の政府閉鎖により、公式統計の公表が延期されている中、民間部門の指標によると、9月の米国インフレ率は上昇した。関税が特定の価格を押し上げていることが、改めて示された。

  調査会社プライススタッツのオンライン小売業者の販売データを基にしたデータによると、9月は家庭用機器や家具などの商品価格は堅調に上昇し、インフレ率は前年同月比で2年ぶりの高水準に達した。調査会社オープンブランドの調査によると、パーソナルケア製品と通信機器がけん引役となり、6月以来の強い月間価格上昇率を示した。

  9月のデータでは、輸入品を中心に一部で価格が顕著に上昇したが、エコノミストは来年にはインフレがやや緩和し始めるとみている。動向の鍵を握るのはサービス価格だ。民間部門の調査とは異なり、サービス価格も消費者物価指数(CPI)には完全に反映されるが、政府機関閉鎖の影響で、今月下旬まで発表が延期されている。

  オープンブランドのチーフエコノミスト、ラルフ・マクラフリン氏は、この傾向は、少額輸入品に対する関税免除措置「デミニミス」の8月の終了が、9月のインフレを押し上げた可能性があると指摘した。同氏は物価を飛行機に例え、「関税は小さな気流の乱れのように飛行機を上昇させるが、それ以外では飛行機は下降軌道にある」と語った。

  雇用統計と異なり、政府統計に代わるインフレに関する指標は非常に少ない。価格情報の収集は、労働集約的な性質を持つためだ。米労働統計局(BLS)は毎月、全国数百人のデータ収集者を派遣し、約8万種類の商品やサービスの価格情報を収集している。収集のためには、食料品店から診療所まで、さまざまな事業者を訪問しなければならない。

  だが、このプロセスを含むBLSほとんどの業務は、政府閉鎖に伴い停止された。ただし、社会保障庁が年次生活費調整を算出できるよう、9月のCPI集計のため一部職員は復帰を指示された。9月のCPIは、24日に発表される予定だ。

  それまで投資家は、民間のデータに目を向けて先行情報を得ることはできる。ただ、こうした指標は、一般的に外食や旅行などのサービス価格は除外されている。

原題:Absent CPI, Private US Inflation Data Show Tariff ‘Turbulence’(抜粋)

— 取材協力 Paulina Cachero

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