インド準備銀行(中央銀行)は最近のルピー安について、投機的な攻撃が主導していると考えており、ルピーが現在よりも高い水準で落ち着くまで介入を続ける用意がある。事情に詳しい関係者が明らかにした。

  関係者によると、インド中銀はルピーが外国のファンドマネジャーによる投機的な攻撃に遭っていると見なし、この判断に基づいてオンショア、オフショアの両方の市場で現在介入している。

  インド中銀は最近の取引でルピー安が進み、1ドル=89ルピーに接近したことに警戒感を抱いたと、関係者は説明。過去最安値の88.8050ルピーの水準を近く割り込む事態は容認しない姿勢だという。関係者は内部の問題を話しているとして匿名を要請した。

  インド中銀は投機的な持ち高が崩壊したと考えられるまで、介入を継続する方針だと、関係者は付け加えた。

  同中銀の報道官は、追加情報提供の要請にすぐには応じなかった。

  ルピーは数週間にわたり、過去最安値付近で推移している。15日はインド中銀の介入後に約1%上昇した場面もあったが、88.31ルピー付近へと上げを縮小した。インド中銀は過去数週間にも介入を実施してきたが、この日の動きは介入を今後強化することを示唆している。介入資金は潤沢で、同中銀は世界で4番目に大きい7000億ドル(約106兆円)に上る外貨準備を持つ。

  関係者はまた、ルピーが1ドル=89ルピーを割り込めば、心理的かつテクニカルな節目となる90ルピー台に突入する恐れが生じると指摘。そのような下落は経済のファンダメンタルズが理由ではなく、投機的な攻撃によるものであるため、インド中銀は容認できないと関係者は述べた。

  最近の通貨安はインドと米国の貿易を巡る不透明性が原因だが、インド中銀は行き過ぎた動きだと認識しているという。

  関税を巡る不透明性にもかかわらず、インド政府は今財政年度で6.5%を超える経済成長を果たすことに自信を持っている。今週発表されたインフレ率も中銀目標の2%を下回る水準に低下し、財政赤字は国内総生産(GDP)比1%弱に抑えられている。

  インドよりもインフレ率が高く経済成長率も低い、ファンダメンタルズに劣る他の新興国通貨の方が現時点で安定しているという事実こそ、ルピーが投機的な攻撃に遭っている明らかな証拠だと、関係者は語った。

原題:RBI Sees Rupee Under Speculative Attack, Will Intervene Further(抜粋)

— 取材協力 Ravil Shirodkar

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