トランプ米大統領は、米国がアルゼンチンに対して計画している200億ドル(約3兆円)の支援策がミレイ大統領率いる与党の議会中間選挙での勝利に左右される可能性があると示唆した。これを受け、為替市場に新たな不安が広がった。

  トランプ氏は14日、ミレイ氏が「勝てばわれわれは彼と共にいるが、勝てなければ去る」と述べた。また、両政府が自由貿易協定(FTA)を巡り協議する予定だと記者団に述べた。

  米国とアルゼンチンは2営業日連続で為替市場に介入せず、アルゼンチンの短期金利は再び3桁台に急上昇。アルゼンチン国債価格は利回り曲線全体で下落し、直近の上昇分を帳消しにした。

  トランプ氏は米国の支援策がミレイ氏への政治的支援を目的としているとの見方を否定した一方、ペソの安定とアルゼンチン市場の沈静化を狙う200億ドルの通貨スワップについて、ミレイ氏の経済理念を支持するシグナルだと改めて示した。

  トランプ氏は「アルゼンチンを支援したい」とし、貿易を通じた成長を強調。「アルゼンチンは優れた製品を持っている。かつては多くの取引をしていた」と語った。

動画:トランプ大統領はアルゼンチンとの貿易協定について協議すると述べた

Source: Bloomberg

  残り2週間を切ったアルゼンチンの議会中間選挙は、ミレイ氏にとって改革路線の行方を左右する重要な節目となる。

  リバタリアン(自由至上主義)の同氏は、政府支出削減を象徴するチェーンソーを掲げながら緊縮策を推進してきたが、これが有権者の不満を招き支持率が低下している。

  米国による異例の金融支援も、ミレイ氏の支持拡大にはつながっていない。26日の議会中間選挙でリバタリアン党が得票率35-40%に達すれば市場が好感するとみられる一方、30%を下回れば大規模な売りが起こると警戒されている。

  ストーンXのストラテジスト、ラミロ・ブラスケス氏は「米政府の支援をミレイ氏の勝利に明確に条件付けることは、むしろリバタリアン勢力の選挙戦に打撃を与える可能性がある」と電子メールで指摘した。

  2035年償還のドル建て国債は2.4セント安の57セント付近と、9月30日以来の下げ幅を記録。為替介入の見送りもあり、アルゼンチンの翌日物担保付きレポ金利は13日の77.5%から115%に急上昇した。ペソのスポットレートは約1%安の1ドル=1360ペソとなったほか、ペソ先物も下落した。

  一方、アルゼンチンのカプト経済相は、中間選挙の結果にかかわらず、米国がアルゼンチンとの200億ドルの通貨スワップを維持する方針だと表明。ワシントンで記者団に対し、米政府は必要に応じてペソ支援を継続すると語った。 

  またトランプ氏が指していたのは「選挙のことではなく、政策の継続性のことだ」との認識を示した。

  ベッセント米財務長官が先週発表したアルゼンチンへの金融支援は、米国による外国市場への異例の介入であり、「米国第一」を掲げるトランプ政権の方針と矛盾するとして批判も出ている。民主党議員の一部は、トランプ氏の思想的盟友と見なされるミレイ氏を支える政治的動機があると指摘している。  

  こうした中、サマーズ元米財務長官はブルームバーグテレビジョンで、トランプ政権によるアルゼンチン支援策について判断を下すには時期尚早だとしながらも、「今回の支援策で使われている戦術は新しく、疑問を呼ぶものであり、時間をかけてその結果を見極める必要がある」と述べた。

President Emeritus At Harvard University Lawrence Summers Interview

サマーズ元米財務長官

Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

原題:Trump Says ‘We’re Gone’ If Milei Loses Vote, Rattling Market (1)、Argentina Says US Treasury Will Continue to Support Peso、Summers ‘Nervous’ About Bessent’s Novel Rescue for Argentina(抜粋)

— 取材協力 Patrick Gillespie, Jordan Fabian and Ignacio Olivera Doll

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