2025
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2025年10月7日、デジタルダイナミック株式会社は、日本アジア投資株式会社との合弁会社が進める福島県双葉町での分散型AIデータセンター事業が、経済産業省の地域経済効果立地支援事業(第5次)に採択されたと発表した。
2026年12月の運用開始を予定している。

目次

福島県双葉町に2MW規模のAIデータセンター建設 全国展開も視野に

デジタルダイナミック株式会社(東京都港区)と日本アジア投資株式会社(東京都千代田区)の合弁会社JAICデータダイナミクス株式会社は、福島県双葉町で進める分散型AIデータセンター事業が、経済産業省による「第5次地域経済効果立地支援事業(※)」に採択されたと発表した。
採択日は2025年9月26日であり、今後、交付申請の審査を経て補助金が支給される見込みである。

本事業は、生成AI時代に対応する推論処理基盤を地方に分散配置する取り組みであり、災害時の通信途絶リスク低減やレイテンシの改善を目的とする。
建設予定地の双葉町では、2MW受電規模のコンテナ型AIデータセンターを整備し、最大100台のGPUサーバーを配置する計画だ。
うち32台にはNVIDIA製B200 GPUを搭載した高性能サーバーが導入される。

総事業費は約30億円を見込み、資金の一部として日本アジア投資グループが最大3億円を拠出する予定である。
完成後は、生成AIや大規模データ処理向けのGPUホスティングやコロケーションサービスを提供する。
デジタルダイナミックは、同事業を皮切りに全国で10MW以上の電力供給能力を持つ施設を段階的に展開し、最終的には50MW規模への拡張を目指す構想を示している。

※地域経済効果立地支援事業:経済産業省が地方創生と雇用促進を目的に実施する補助金制度。新規立地や再投資を行う企業に対し、施設整備費や設備投資費の一部を支援する。

地方分散型AIインフラの拡張がもたらす可能性と課題

今回の採択は、地方におけるAIインフラ整備の本格化を象徴している。
データセンターを分散させることで、首都圏集中による電力負荷や災害リスクを軽減し、全国的なデジタルインフラの強靭化を実現できる可能性がある。

とくに双葉町は、再生可能エネルギーや原子力発電の立地地域として電力供給の安定性に優れ、エネルギーとAI計算資源を組み合わせた新たなモデル地域として注目される。
地方でのAI拠点形成は、地域経済や雇用創出にも波及効果をもたらすだろう。

一方で、初期投資規模の大きさや冷却・電力コスト、人材確保などの課題も存在する。
長期的な運用には、自治体との協働体制や再生可能エネルギーの活用戦略が鍵となるだろう。

同社が描く全国的な分散AIデータセンター網の構想は、生成AI需要の急拡大に対応するだけでなく、日本のデジタル競争力を底上げする基盤となる可能性がある。
地方から始まるインフラ再構築の動きとして、その成果が注目される。

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