By

Reuters

掲載日

2025年10月14日

業界幹部らによると、インドの繊維輸出業者は、最大50%に達する米国の高関税の打撃を和らげるため、欧州市場で新規顧客の開拓を進める一方、既存の米国顧客には割引を提示している。ドナルド・トランプ大統領は8月、インドからの輸入品に課す関税を倍増させ、主要な貿易相手国の中でも突出して高い水準となり、衣料品や宝飾品からエビに至るまで幅広い品目に影響が及んでいる。

繊維産業はインドの主要な雇用の受け皿繊維産業はインドの主要な雇用の受け皿 – Reuters/ Samuel Rajkumar

輸出契約の締結を控え、匿名を条件に語ったムンバイの衣料品輸出業者は、同社は欧州連合(EU)市場への多角化を優先しており、同ブロックとの早期の貿易協定締結がインドからの出荷拡大を後押しするだろうと述べた。
インドとEUの貿易協議は、年末の自由貿易協定調印という目標の達成に向け、双方の交渉チームが集中的に作業を進めるなか、大詰めの局面に入っている。

EUはインドにとって最大の物品貿易相手で、2024年3月までの1年間の双方向貿易額は1,375億ドルに達し、過去10年で約90%増加した。インドの輸出業者は、化学物質管理、製品表示、倫理的調達に関するEUのより厳格な基準を満たすべく、取り組みを強化していると、繊維輸出業者らは話す。

これらの基準に対応するため、生産設備の更新・高度化を進めていると、自身のウェブサイトでインド衣料品製造業者協会のチーフメンターと紹介されているRahul Mehta氏は述べた。輸出業者は米国への依存度を下げることにも前向きだと、Mehta氏は付け加えた。

2025年3月期には、米国はインドの繊維・衣料品の最大市場で、輸出総額約380億ドルのうち約29%を占めた。米国向け輸出が総出荷の89%を占めるムンバイ拠点のCreative Groupの会長、Vijay Kumar Agarwal氏によると、米国の顧客をつなぎ留めるため、一部の輸出業者はすでに割引の提供を始めているという。

米国の関税の影響がこのまま続けば、同社は1万5,000人の従業員のうち6,000〜7,000人を失う恐れがあり、半年後にはオマーンや隣国バングラデシュへの生産移転も検討せざるを得なくなる可能性があると、Agarwal氏は述べた。

© Thomson Reuters 2025 All rights reserved.

WACOCA: People, Life, Style.