サッカー日本代表にとって10月14日のブラジル戦は、2025年最大のビッグマッチとなる。格上とも評せる相手にカウンターは炸裂するか。久保建英、鎌田大地らの言葉から戦況を予測する。〈Number Webレポート:全2回。第1回からつづく〉

 サッカーの魅力に取りつかれている久保建英は、カウンターの本質をとらえている。

僕が思うのは「攻められ方」の問題だと

 そんな彼が効果的かつ相手の脅威となるカウンターの見本の一つとして挙げるのは、鎌田大地が中盤で心臓役となっているクリスタル・パレス(以下パレス)である。

 今回、南米勢との2試合にあたっての重要テーマが、戦術的な練習の量と質だった。そして、先月の代表戦の終わりに選手からの意見として挙がったのが、カウンターからどのようにゴールに迫るのかの道筋が見えるような練習の必要性だった。

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 だからこそブラジル戦、カウンターから効果的にゴールに迫るシーンをどれくらい作れるかが大事なテーマとなる。

 もちろん、そのために考えられることはいくつもある。ボールを奪ったときに、誰がどのレーンを走るのかを決めておくのも良いだろう。あるいは、守備から攻撃へ素早く切り替える意識づけも意味があるかもしれない。

 その中で久保の答えは納得感のあるものだった。カウンターから良い形でフィニッシュを目指すためにはどう考えていくべきかを本人に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「攻められた後のカウンターというのは結局、選手の質などに頼りがちなので。よく言われますけど、一方的な展開になると(攻め込まれたチームは)引きすぎてしまい、奪った後に(残っている)力がなく、カウンターができない。引くにしても、引き方の問題で」

 その上で久保は、こう話した。

「改善できることとしたら……僕が思うのは、『攻められ方』の問題だと思います」

リバプール戦で発動した鎌田パレスのカウンター

 そこで例を挙げたのが、今シーズン、リバプールに初めて土をつけたパレスの攻められ方――つまり、効果的なカウンターを仕掛けるための守備の仕方だ。再び、久保の解説に戻ろう。

「クリスタル・パレスとかは引いた後のカウンターが絶対に決まるじゃないですか。あれも引き方の問題だと思いますし。仮に引くにしても〈奪った後のことを考えた引き方〉は練習でできるんじゃないんですかね。逆に、奪った後にどうしようというのはあくまでも、選手の質にこだわることになってしまうので」

 久保の言葉を補足すると、ボールを奪ってから相手のゴールに迫る際には、選手のスタミナ、スピード、決定力に大きく左右される。特に、低い位置でようやくボールを奪えた場合には、選手個人の能力によるところが大きい。一方で、効果的なカウンターを繰り出すための守備については、選手の個人の能力が世界最高レベルではなくても、参考にできる要素が大きいということだろう。

 久保の話を受けて即座に想起されるのは、9月27日のリバプール戦、前半11分のシーンだ。

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