大学三大駅伝の幕開け

出雲駅伝は、11月の全日本大学駅伝、翌年1月の箱根駅伝と並び「大学三大駅伝」のひとつに数えられている。21チームが出場し、出雲大社正面鳥居前(勢溜)をスタート地点に、出雲ドーム前まで6区間45.1kmで争われる。全日本大学駅伝(8区間106.8km)、箱根駅伝(10区間217.1km)に比べ距離が短いため、各校のエース級ランナーによる激しいつばぜり合いが全区間で繰り広げられるのが特徴だ。

2024年の第36回大会では國學院大學が2時間09分24秒で優勝。2位の駒澤大学は2時間10分04秒、3位の青山学院大学は2時間10分24秒でフィニッシュ。つまり、わずか1分の間に上位3校がゴールしたことになる。長距離走において1分は決して短くはないが、アクシデントや力走による挽回も可能な差。各校の実力差は年々縮まっており、今回も手に汗握る展開が期待される。

そして当然ながら、この大会で優勝したチームだけが2025年度の“三冠”を狙う資格を得る。これまで三冠を達成した大学は、大東文化大学(1990年度)、順天堂大学(2000年度)、早稲田大学(2010年度)、青山学院大学(2016年度)、駒澤大学(2022年度)の5校のみ。史上6校目の三冠王者へと歩みを進めるのはどの大学か。駅伝シーズンの幕開けにふさわしいレースとなりそうだ。

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連覇を目指す國學院大學

出雲駅伝で真っ先に注目されるのは前回王者の國學院大學だ。唯一、連覇を狙えるチームであり、2019年大会での鮮烈な初優勝は今なお語り草となっている。

当時の大学駅伝は、2016年度に三冠を達成した青山学院大学を中心に、駒澤大学や東海大学が有力とされていた。その構図を崩したのが國學院大學だった。キャプテン土方秀和(当時4年)が最終6区で逆転し、大学三大駅伝を通じて同校に初の栄冠をもたらしたのだ。さらに2024年には二度目の優勝、続く全日本大学駅伝でも制しており、三冠まであと一歩に迫った。

國學院大學が5年ぶり2度目の制覇!出雲全日本大学選抜駅伝2024

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なお、その三冠を阻止したのは青山学院大学。青山学院もまた、2012年の出雲駅伝初制覇をきっかけに“王朝”を築いた歴史を持つ。

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10月10日に発表された暫定オーダー表によると、國學院大學の出走予定は以下の通り。

1区:青木瑠郁/2区:尾熊迅斗/3区:野中恒亨/4区:鼻野木悠翔/5区:高山豪起/6区:上原琉翔(主将)

“最強の学生ランナー”と評された平林清澄は卒業したが、青木・野中・上原は昨年も出場しており、野中と上原は区間賞を獲得している。尾熊と鼻野木は2年生ながら期待大。出雲駅伝公式サイトの選手紹介によれば、尾熊は「1500mではチーム最速の記録を持ち、切れ味鋭いスピードが持ち味」、鼻野木は「ブレイク間近を漂わせる期待の2年生で、スピードとキレで圧倒」と評されている。ともにスピード勝負の展開となる出雲駅伝で真価が問われるだろう。

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