ドイツ・ミュンヘンで開催されたIAAモビリティ2025でのBYD車展示 =9月9日(写真:LaPresse/共同通信イメージズ)
「自動車王国」ドイツの現実路線への回帰
[ロンドン発]フリードヒ・メルツ独首相は欧州連合(EU)が掲げる2035年の内燃機関(ガソリン、ディーゼル)車の新車販売禁止目標の撤廃を求めている。かつての「自動車王国」ドイツの現実路線への回帰なのか、それとも「チャイナショック2.0」への白旗なのか。
欧州の自動車メーカーは中国勢との激しい競争に苦戦している。独自動車メーカーのフォルクスワーゲン(VW)やメルセデス・ベンツはEV(電気自動車)化に苦しんでおり、「2035年という期限は非現実的。時間が必要」と政府に対応を迫っていた。
独自動車産業は昨年までに5万人以上の雇用を喪失。メルツ氏は自動車税免除や低所得者向けEV購入助成を継続、充電インフラ整備支援で電動化を進める一方、プラグインハイブリッド(PHEV)やEVの航続距離を伸ばす小型発電機、カーボンニュートラル燃料を併用する方針だ。
バッテリー電気自動車(BEV)の1本化を避け、ドイツが誇る内燃機関技術の延命を図る。しかし緑の党は「EUにおける35年の内燃機関車新車販売禁止を骨抜きにしようとしている。致命的で近視眼的な判断であり、気候変動対策にも甚大な影響を与える」と反発している。
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