子どもたちと、日本とフランスの2拠点生活を始めて3年。俳優の杏さんが、初めて絵本の翻訳を手がけました。担当したのは、フランスの子どもたちに愛されている大人気のシリーズ絵本。読書家としても知られる杏さんに、翻訳にこめた思い、ご自身とお子さんたちの読書スタイルやフランスでの生活についてお話を聞きました。子育て・教育情報誌「AERA with Kids秋号」(朝日新聞出版)からお届けします。
【写真】オーロラを楽しむ杏さんはこちら(ほか全3枚)
■子どもたちもよく知る一冊。ご縁を感じました
今回、初めて絵本『おこりんぼまじょコルヌとノン!ノン!ピエール』(KADOKAWA)の翻訳に携わらせていただきました。
原作の「コルヌビドゥイユ」シリーズは、子どもたちが学校で読んでいる書籍の中にも入っていたので、私もよく知っている絵本。ですから、お話をいただいたときに「あ、その本はもう手元にあります」という感じで……。ご縁を感じて、お受けしたいと思ったのです
とはいえ、私もフランス語はまだまだ勉強中の身です。少々不安だったのですが「直訳ではなく、子どもに対して『どういう表現がよりおもしろく感じてもらえるか』といった工夫の点で、いっしょにやってみませんか?」とご提案をいただき、それならぜひ!と挑戦しました。
そこからは作業に没頭する日々。監修の先生や編集の方と何度も相談しながら、半年以上はかかったと思います。
■ゲームの順番待ちや移動中は読書タイムです
今は、電子書籍があるのでとても便利ですよね。子どもたちも、クリスマスにサンタクロースにもらった専用端末で読んでいます。海外に住んでいるので、なかなか日本の本を新しく買うことが難しいのですが、これなら好きなものをすぐに読めます。
たとえば、わが家はゲーム機が1台しかないので、子どもたちは順番待ちの間、自然に読んでいます。旅行や外食の移動中も読書。それくらい夢中になるので「朝起きてすぐに本を読むのやめて」や「着替えてから読もうよ」といったお小言がよく出ます(笑)。
でも、「今度イタリアの○○に行くよ」と言うと、「あそこは○○があったところだよね」という具合に、ときどき私が知らないことを「本で読んだ」と教えてくれるんです。驚きますね。

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