米海兵隊が運用している小型ドローン群とそれを支援する陸上移動用の無人車両(8月13日、沖縄県のキャンプ・シュワブで、米海兵隊のサイトより)

1.ここ3か月間の無人機攻撃増加とその理由

 ロシアは最近頻繁に、1日に500機以上の無人機攻撃をミサイル攻撃と合わせて行っている。

 ウクライナにも被害が出ている。今年7月の1か月間の攻撃は、6000機を超えた。8月はいったん約4000機までに減少したが、9月には5500機に増加した。

 ウクライナが無人機関連の軍事工場を攻撃してはいるが、ロシアの無人機攻撃回数は、大きく減少はしていないようだ。

グラフ1 ロシアの無人機攻撃の推移(月間)

出典:ウクライナ空軍司令部日々発表資料を筆者がグラフにしたもの

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 最近のロシアの無人機攻撃について、以下を解明する必要がある。

①増減数から読み取れる攻撃の過激性

②攻撃機数増減の理由

③爆薬を搭載した攻撃機か囮機かの区別

④撃墜と打ち漏らしの比率

 併せて、囮無人機が増加している状況で、ウクライナが爆弾を搭載した無人機(シャヘド)や囮無人機攻撃へどのように対処しているのか、さらにロシアがそれを真似ようとすることも明らかにしたい。

2.7月と9月に無人機攻撃が著しく増加

 ロシアの今年の7月と9月の無人機攻撃は、これまでで最も多かった。

 攻撃増減の理由を解明するために、多い月を含んだ7~9月の3か月間の日々の無人機攻撃をグラフ(グラフ1)にした。

 そのグラフに無人機攻撃の増減に関連する事象を重ね合わせたところ、ロシアがなぜ無人機攻撃を増減させたのか、その理由が浮き彫りになった。

グラフ2 7~9月、ロシアによる日々の無人機攻撃の回数

 7月は、1日に300機以上攻撃する日が10回で7月30日まで続いた。

 1日にこれだけ多くの無人機攻撃を行ったことと、その結果、7月の1か月間で6300機を超えたことは、侵攻開始以来、初めてのことである。

 このような過激な無人機攻撃(ミサイル攻撃を含む)を実施したのは、6月1日にウクライナがロシア国内飛行場に駐機してある爆撃機等40機を破壊した後である。

 このときロシアは面子を潰され、仕返しをするために、約1か月間、製造した無人機を貯め、7月に集中的に使用したと考えられる。

 8月初めから中旬まで、無人機攻撃はほとんど1日に100機以下であり、一時的に低調になった。

 これは、米国のドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の会談(8月15日実施)の前であったことの影響が大きい。

 米国によるロシアへの経済制裁やウクライナ支援をやめさせたいプーチン氏の一時的なポーズであったのだろう。

 米ロ首脳会談後、ロシアは無人機攻撃を増加させた。

 8月20日から9月末までの40日間に、1日に500機を超える日が7回もあった。9月の1か月間では5500機を超えた。

 増加の理由は、ウクライナが8月からロシア国内の石油関連施設を頻繁に攻撃したことへの仕返しと考えられる。

 また、米ロ首脳会談の約束は、8月15日に一応取り付けた(一時的)ことで、攻撃がやりやすくなった。

 8月前半に使用しなかった分を9月に回すことができたことも理由の一つである。

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