アメリカのパスポートを、カーキ色のズボンの後ろポケットに入れようとしている様子。手の一部が見えている

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画像説明, アメリカはドナルド・トランプ大統領が1月に就任して以来、移民に厳しい姿勢を示している

2025年10月13日 10:21

マーティン・ムワンギ記者、BBCモニタリング

西アフリカのマリは12日、同国のビジネスおよび観光ビザ(査証)を取得しようとするアメリカ人に対し、最高1万ドル(約150万円)の保証金を義務付けると発表した。アメリカの措置への対抗だとしている。

マリのアメリカ大使館は10日、「アメリカの国境と国家安全保障を守る取り組み」を強化するためだとして、マリ国民を対象に同様の保証金の導入を発表していた。

これを受けてマリの外務省は12日、保証金が一方的に課せられたと主張。米国民を対象に、「同一のビザのプログラムを設ける」ことを決定したと発表した。

両国の間ではこのところ、外交関係を改善する動きがみられていた。

7月には、米政府関係者がマリを訪れ、テロ対策の協力と経済パートナーシップについて話し合った。経済分野では、マリの金鉱やリチウム鉱山の開発にアメリカが関与する可能性も協議されていた。

ただ、それ以前の両国関係は、マリで2021年にクーデターが起き、アシミ・ゴイタ大佐が権力を掌握して以降、悪化していた。

ゴイタ氏は、イスラムのジハーディスト(聖戦主義者)による反体制の動きの拡大を食い止めようと、ロシアに接近。駐留していたフランス軍を追放し、ロシア国防省の傘下だった民間軍事会社「ワグネル」から雇い兵を呼び寄せた。この雇い兵はその後、ロシアの「アフリカ部隊」に取って代わられた。

一方、同じく西アフリカのブルキナファソでは、軍事政権が先週、アメリカからの強制移送者の受け入れを拒否した。

ブルキナファソの米大使館は、ビザの発給を停止。同国のカラモコ・ジャン=マリー・トラオレ外相は、第三国からの移民受け入れに関するアメリカの提案を拒否したことで、アメリカが「脅迫」してきたのではないかと疑問を呈した。

ドナルド・トランプ米政権は移民取り締まりの一環として、移民の追放先としてアフリカ諸国に目をつけている。

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