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画像説明, イスラム組織ハマスによる2023年10月7日の攻撃以来、ガザで拘束され、この日解放されたイスラエル人の人質のオムリ・ミランさん(左)は、妻と約2年ぶりに再開した(13日、イスラエル)2025年10月13日 15:57
更新 2時間前
イスラエル国防軍(IDF)は同国時間13日午前9時(日本時間同日午後3時)過ぎ、パレスチナ・ガザ地区のイスラム組織ハマスが拘束していた人質のうち7人が、停戦合意に基づいて解放されたと発表した。その後、さらに13人がイスラエルに帰国し、生存する計20人全員が同国に戻ったと明らかにした。一方、イスラエルに拘束されていたパレスチナ人たちを乗せた複数のバスが同日、ヨルダン川西岸地区のラマラに到着した。この日はエジプトで停戦合意の署名のためのサミットが開かれる予定で、アメリカのドナルド・トランプ大統領やイギリスのキア・スターマー首相なども参加する見込み。
IDFは声明で、「赤十字から提供された情報によれば、7人の人質が赤十字の管理下に移され、現在ガザ地区にいるIDFおよびISA(イスラエル保安庁)の部隊のもとへ向かっている。IDFは、後に赤十字に引き渡される予定の追加の人質を受け入れる準備が整っている」と説明した。
ハマスも、7人の人質を赤十字に引き渡したことを認めたと、関係者がロイター通信に語った。
その後、IDFは、人質の第2グループとして13人がイスラエルに戻ったと明らかにした。死亡した人質28人の遺体はまだ引き渡されていないもよう。

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画像説明, 解放された人質を乗せた赤十字の車両(13日、ガザ市)
イスラエル・テルアヴィヴの「人質広場」にはこの日早朝から、愛する人々の解放という待望の知らせを待つ人々が集まった。
これに先立ち、パレスチナの通信社は、ハマスが解放予定の20人の人質の氏名を公表したと報じていた。
また、ハマスが運営する「収監者メディアオフィス」は、メッセージアプリ「テレグラム」で、人質との交換で釈放される予定の、ガザ出身のパレスチナ人収監者1718人の氏名を公開した。

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画像説明, イスラエルの刑務所から解放され、家族と抱き合うパレスチナ人(13日、ラマラ)
トランプ氏がイスラエルへ
アメリカのドナルド・トランプ大統領はこの日、人質解放に合わせてイスラエルに到着した。同国に向かう大統領専用機エアフォース・ワンの中で、トランプ氏は「戦争は終わった」と述べた。
同行している記者団に対しトランプ氏は、停戦は維持されるとした上で、ガザに「平和評議会」が速やかに設置される見通しだと述べた。トランプ氏は、ガザが「解体現場のように見える」とも語った。また、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と仲介役のカタールの役割を称賛した。
イスラエルは、2023年10月7日にハマスがイスラエル南部への攻撃を主導し、約1200人を殺害、251人を人質として拘束したことへの対応として、軍事作戦を開始した。
ハマスが運営するガザの保健省によると、それ以降、ガザではパレスチナ人6万7000人以上が殺された。これには、1万8000人以上の子どもが含まれている。

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ガザにおける停戦は、イスラエルとハマスがトランプ氏の仲介による20項目の和平計画の第1段階に合意したことを受けて、11日朝に発効した。次の段階については、今後交渉が行われる予定だ。
イスラエル人の人質のうち20人は生存しているとみられており、ハマスは死亡した最大28人の遺体も引き渡す見通しだ。
イスラエルはまた、パレスチナ人の囚人約250人と、ガザ出身の拘束者1700人を釈放することになっている。また、ガザ地区には、これまでより多くの支援物資が搬入される見通し。イスラエル政府の報道官は、生存している人質がイスラエル領内に到着次第、釈放が行われると述べている。
また、イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は、人質が返還された後、イスラエル軍がハマスによって建設されたガザの地下トンネルを破壊する方針だと述べた。
トランプ氏は、BBCが停戦が維持されると信じているかと質問すると、維持されると答え、「みんなが満足している。私はこのまま続くと思う」と述べた。
また、自身の和平に関する能力について、「私は戦争の解決が得意だ。平和を築くのが得意だ」と語った。
ガザを訪問する可能性について問われたトランプ氏は、訪れるつもりだと答え、「少なくとも足を踏み入れたい」と述べた。トランプ氏は、今後数十年の間にガザが「奇跡」になると考えていると語った。
さらに、ガザは間もなく「正常化」するとし、ガザを監督するための「平和評議会」が「非常に迅速に」設置される見通しだと述べた。
関係筋によれば、アメリカはすでに中東に駐留している米軍兵最大200人を、イスラエルに設置される、民軍協力の調整センターに移動させる予定だ。このセンターには、エジプト、カタール、トルコなどアラブ・イスラム諸国の部隊も参加する見通し。
イギリス政府は、最新の停戦を監視する多国籍部隊にイギリス軍を派遣する「計画はない」とすでに表明している。
エジプトで和平サミット、英首相らも出席
和平計画の後半段階に関する多くの詳細は、合意締結が困難な可能性がある。これにはガザの統治のあり方、イスラエル軍の撤退範囲、ハマスの武装解除などが挙げられる。
トランプ氏は13日にイスラエルへ到着し、同国議会で演説を行う。その後、エジプトのアブドゥル・ファッターハ・アル・シーシ大統領と共に、同国のシャルム・エル・シェイクで開催されるサミットを主導する見通しだ。
このサミットには、イギリスのキア・スターマー首相やパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長など、20人以上の指導者が出席することが分かっている。
エジプト大統領府の報道官は、この会合が「ガザ地区における戦争を終わらせ、中東における平和と安定の努力を強化し、地域の安全と安定における新たな章を開く」ことを目的としていると述べた。
イランのアッバス・アラグチ外相は、エジプトがイランをサミットに招待したことを認めたが、「マスード・ペゼシュキアン大統領も私も、イラン国民を攻撃し、引き続き脅迫や制裁を加えている相手とは関与できない」と語った。
アラグチ氏はXへの投稿で、「イランは、イスラエルによるガザでのジェノサイドを終わらせ、占領軍の排除を確保するあらゆる取り組みを歓迎する」と述べた。

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画像説明, エジプトのシャルム・エル・シェイクに到着したキア・スターマー英首相
スターマー首相は12日、和平サミットに先立ってエジプトに到着した。
英首相官邸によると、スターマー首相はこのサミットで、トランプ氏や、エジプト、カタール、トルコの外交努力に「特別な敬意」を表する予定だという。その後、「停戦の第2段階に向けた迅速な進展」を確保するための継続的な協調を呼びかける見通しだ。
フランス大統領府も11日、エマニュエル・マクロン大統領がサミットに出席する予定だと認めており、「合意の実施に対する全面的な支持を表明する」としている。
英首相官邸はまた、イギリスが13日から3日間にわたり、ガザの復興と再建を議論するサミットを主催すると発表した。この会合には、サウジアラビア、ヨルダン、ドイツ、パレスチナ自治政府の代表が出席する予定。
イギリスのイヴェット・クーパー外相は10日、「イギリスは和平プロセスを引き続き支援していく」と述べ、ガザへの民間資金の導入など、他の手段による関与も検討していると語った。
援助物資の搬入始まる
援助物資を積んだトラックは12日にガザ地区内への移動を開始した。さらに数百台が境界で待機している。
ガザ南部ハンユニスでは、到着した支援車列の周囲に大勢のガザ住民が集まった集まった。
国連児童基金(ユニセフ)のジェームズ・エルダー氏は、12日にBBCの取材に応じ、数十台のトラックがガザ地区に入ったと述べたが、必要とされる量には達していないと語った。
国連は、ガザの人道危機に対応を開始するには、毎日少なくとも600台の支援トラックが必要だと推定している。
しかし、イスラエルはIPCの報告を否定しており、同国の外務省はその結論が「ハマスの虚偽に基づいている」と主張している。 ガザで人道問題を担当するイスラエルの軍事組織、イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)は、報告書が「ガザで実施されている広範な人道的取り組みを無視している」としている。

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画像説明, ガザ南部ハンユニスで、援助物資を積んだトラックに集まる住民たち
ガザ北部に戻ったパレスチナ人たちは、破壊された光景を目の当たりにしたと語った。多くの人々が自宅ががれきと化しているのを確認した。
救助隊は、現地には不発弾や爆発物が残されている可能性があると警告している。
支援団体と連携するパレスチナ人組織の代表であるアムジャド・アル・シャワ氏は、150万人の避難民を一時的に収容するため、30万張のテントが必要だと推定している。
地域の情報筋によれば、ハマスはイスラエル軍が最近撤退したガザの地域での支配を再確立するため、約7000人の治安部隊員を呼び戻したという。

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