Play video, “Watch: Police search home of Brazil’s former president Jair Bolsonaro”, 所要時間 0,2300:23動画説明, 裁判所の命令を受け、警察がジャイル・ボルソナロ前大統領の自宅を捜索した(18日、映像には音声がありません)

2025年7月19日

ブラジルの最高裁判所は18日、ジャイル・ボルソナロ前大統領に対し、足首への電子タグ装着と夜間外出禁止を命じた。前大統領が、裁判中に国外逃亡する可能性があるとの懸念に基づく措置。

ボルソナロ被告は2019年から2022年までブラジル大統領を務めたが、2023年1月にルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ氏の就任を阻止するためにクーデターを企てた疑いで起訴されている。前大統領は罪状を否認している。

ボルソナロ前大統領は、裁判所の命令は「この上ない屈辱だ」と述べ、ブラジルを離れることなど一度も考えたことはないとした。

最高裁の命令を受け、ブラジル連邦警察は18日、ボルソナロ前大統領の自宅および政治拠点の自由党本部を家宅捜索した。

アレシャンドリ・デ・モラエス判事はまた、ボルソナロ前大統領にソーシャルメディアの使用禁止と、息子のエドゥアルド・ボルソナロ氏との接触禁止を命じた。エドゥアルド氏はアメリカで父親の支援活動を行っている。また、外国の大使や外交官、各国大使館との接触も禁じられた。

前大統領は今後、24時間体制で監視され、夜間外出禁止令にも従う必要がある。

モラエス判事は、前大統領が息子のエドゥアルド氏と共謀し、ブラジルの公務員に対する制裁を課すよう外国に働きかけるなど、意図的かつ違法な行動を取っていたと指摘した。

これに対し、前大統領の弁護士は声明を発表。裁判所の決定に「驚きと憤り」を感じていると述べた上で、前大統領は「常に裁判所の命令に従ってきた」と強調した。

連邦警察によると、ボルソナロ前大統領が裁判の妨害を試みたほか、司法妨害や国家主権への攻撃に該当する行為を行ったという。

高関税は起訴取り下げへの圧力とトランプ氏

トランプ米大統領は先週、ボルソナロ前大統領の扱いを理由に、8月1日からブラジル製品に50%の関税を課すと警告した。

現職のルラ大統領はこれに対し、同様の関税措置で対抗すると表明。ソーシャルメディアへの投稿で、ブラジルは「独立した制度を持つ主権国家」で「誰も法の上にはいない」と述べた。

トランプ氏は10日、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」にボルソナロ氏に送った書簡を投稿。その中で、同氏に対する刑事訴追は政治的迫害だと述べたほか、関税の脅しは、ブラジル当局に起訴を取り下げさせるための圧力だと明かした。

豪華な夕食会で、丸いテーブルで隣同士に座る2人の男性。テーブルには洋食器のテーブルセットと複数のグラス、中央には花が置いてある

画像提供, Reuters

画像説明, トランプ氏の私邸「マール・ア・ラーゴ」の夕食会で並んで座るボルソナロ前大統領(左)とトランプ氏

ボルソナロ前大統領は2023年1月、ルラ大統領の就任から1週間後に発生した政府庁舎襲撃事件をめぐり、他の7人の被告と共に裁判にかけられている。

この8人の罪状は、クーデター未遂、武装犯罪組織との関与、民主的法秩序の暴力的廃止未遂、登録文化財への加重損壊、登録文化財の劣化の5件。

有罪判決が下された場合、70歳の前大統領は数十年に及ぶ禁錮刑を科される可能性がある。

ボルソナロ前大統領は一貫して無罪を主張し、「深刻で無根拠」だと非難している。さらに自分は、2026の大統領選挙への出馬阻止を目的とした「政治的迫害」の被害者だと主張している。

今年6月に行われた法廷での証言で、ボルソナロ前大統領はクーデターとは「忌まわしい行為だ」と述べ、「軍幹部との間でクーデターについて話し合ったことは一度もない」と語った。

その後、多くの支持者が数週間にわたり軍の兵舎前にテントを張り、ルラ氏の就任を阻止するよう軍に働きかけた。

暴動発生当時、ボルソナロ前大統領はアメリカ滞在中で、暴徒との関与を一貫して否定している。

暴動とそれまでの経緯については、連邦当局による捜査が始まっている。捜査官らはその後、「組織的に行動した犯罪組織」の存在を示す証拠を発見したと述べている。この組織は、当時の大統領だったボルソナロ前大統領を政権にとどめることを目的としていたとされている。

2024年11月に公開された884ページに及ぶ捜査報告書では、「当時のジャイル・メシアス・ボルソナロ大統領が、クーデターを実行し、民主的な法秩序を破壊しようとする犯罪組織の行動を計画し、実行し、その内容を直接的かつ実質的に把握していた」と記されている。

さらに、ブラジルのパウロ・ゴネット検事総長は、2025年2月に公表した報告書の中で、当時のボルソナロ大統領が単に状況を把握していただけでなく、ルラ氏の打倒を目指す勢力を主導していたと非難している。

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