青系のジャケット、白のシャツ、黄色系のネクタイを着けたトランプ米大統領が椅子に座り、両手を広げて口を軽く開けている。背後に米国旗がある

画像提供, Bloomberg/Getty

2025年7月10日

アメリカのドナルド・トランプ大統領は9日、ブラジル製品に50%の関税をかける予定だとソーシャルメディアで発表した。ブラジルとの対立姿勢を一段と強めている。

トランプ氏は、関税について通告する書簡をソーシャルメディアで公開。その中で税率を明らかにした。

トランプ氏は書簡で、ブラジルが米ハイテク企業を「攻撃」していると非難。また、ジャイル・ボルソナロ前大統領を「魔女狩り」しているとも責めた。極右政治家のボルソナロ氏は、2022年大統領選挙での敗北を覆す企てに関わったとして訴追されている。

これに対し、ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は、関税の引き上げには引き上げで応じると、ソーシャルメディアに投稿。また、同国の司法制度に干渉しないよう警告した。

トランプ氏とルラ氏は今週、ボルソナロ氏の裁判をめぐって言い争った。ルラ氏は、ブラジルは誰からの「干渉」も受け入れないとし、「誰も法を超越できない」と付け加えた。

トランプ氏はブラジルへの書簡を含め、今週これまで22カ国に関税についての書簡を送った。日本、韓国、スリランカなどに対し、新たな関税の概要を説明し、8月1日に発動させるとした。

ほとんどの国には、米政権が4月に発表し、直後に一時停止していた関税措置を復活させる内容となっている。一方、ブラジルに対しては、4月発表の関税から10%の大幅な引き上げをすると脅しかける通知となっている。

ただ、アメリカにとってブラジルは、他の多くの貿易相手国とは異なり、昨年の貿易で黒字を計上した国だ。

トランプ氏は書簡で、50%の税率について、「(ブラジルの)現政権の重大な不公正を是正するために(中略)必要なもの」だと主張した。

ボルソナロ前大統領を「尊敬している」

書簡でトランプ氏は、ブラジル政府について、「米ソーシャルメディアのプラットフォーム」に対する検閲などによって、「自由選挙と米国人の基本的な言論の自由に対する陰湿な攻撃」をしていると非難した。

ブラジルの裁判所は、米ハイテク企業にソーシャルメディアのアカウントの停止命令を出している。米企業側はこれと争っており、トランプ氏のソーシャルメディア企業「トランプ・メディア」もその1社となっている。

トランプ氏は書簡で、ブラジル前大統領のボルソナロ氏を「非常に尊敬している」と述べ、進行中の同氏に対する裁判は「国際的に不名誉なもの」だとした。

トランプ氏とボルソナロ氏は、共に大統領だった2019年に米ホワイトハウスで会談するなど、友好関係を築いていた。ボルソナロ氏は「熱帯のトランプ」と呼ばれることもある。

両氏はその後の大統領選で敗れたが、どちらも公に敗北を認めなかった。

当時、ボルソナロ氏はアメリカに滞在しており、暴徒や企てとの関係を否定していた。

トランプ氏は、ブラジル・リオデジャネイロで今月6日に開かれた、主要新興国による「BRICS」首脳会議も批判している。トランプ氏はこのグループを「反米」と呼び、構成国には10%の追加関税を課すと述べた。

ルラ氏は7日、トランプ氏のソーシャルメディアでの脅しに反論。「彼は世界が変わったことを知る必要がある」、「私たちに皇帝はいらない」とした。

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