世銀、サハラ以南のアフリカ成長率予測引き上げ 物価・通貨安定が寄与

 10月7日、世界銀行は、サハラ以南のアフリカ諸国の今年の成長率を3.8%と予想し、4月時点の3.5%から上方修正した。写真はラゴスのビジネス街。2020年3月、ナイジェリアのラゴスで撮影(2025年 ロイター/Temilade Adelaja)

[ナイロビ 7日 ロイター] – 世界銀行は7日、サハラ以南のアフリカ諸国の今年の成長率を3.8%と予想し、4月時点の3.5%から上方修正した。今後2年間、成長の勢いが増すと予想した。

世銀はアフリカ経済に関する年2回の報告で、予想の上方修正は、エチオピアなどで為替とインフレが安定し、金利引き下げの余地が生まれたためと説明し、「こうした好条件が民間消費と投資の回復に拍車をかけている」と述べた。ただ一部の国は財政再建の取り組みが成長を抑制する可能性があると指摘した。

2026─27年は平均年4.4%の成長を予測し、従来の4.3%から若干上方修正した。

世銀のアフリカ担当チーフエコノミスト、アンドリュー・ダバレン氏はブリーフィングで「インフレ率の中央値は4%を下回る。さらに米ドルに対して急落していた通貨の大半は回復し、安定している」と述べた。

<エチオピアなど主要国を上方修正>

世銀は、サハラ以南地域に区分する47カ国中30カ国の成長予想を上方修正した。地域の主要国であるエチオピア、ナイジェリア、コートジボワールの予想を引き上げ、今年、26年、27年の実質所得の伸びも加速すると述べた。

しかし、トランプ米政権の政策に端を発した貿易の不確実性、高水準の債務、若者の雇用問題などのリスクが見通しに影を落とす。

ダバレン氏は、米国のアフリカに対する特恵関税制度「アフリカ成長機会法」(AGOA)の失効に言及し、「貿易の課題は依然非常に厳しい。多くの交渉が進行中で、どのように解決するか分からない」と述べた。

<若者の不安を払拭する雇用創出>

世銀は各国政府に対し、中小企業を育成に向けて、ビジネス全般の環境を改善し良質な雇用の創出に注力するよう促した。

「こうした雇用は、生活賃金と安定した生活を提供するものでなければならない」とダバレン氏は述べ、この地域の経済で創出される雇用の4分の3はインフォーマル・セクターによるものだと指摘した。

ケニア、ナイジェリア、マダガスカルでは雇用機会の欠如などへの不満から若者主導の抗議行動が昨年から起きている。

ダバレン氏は「これらの問題を解決しないことがもたらす結果は想像に難くない。非常に大きな混乱を招くと予想され、その兆候は既に出始めていると考える」と述べた。

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