紺のスーツとネクタイ姿、白髪のブレア元英首相が笑顔で話している

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画像説明, ブレア元英首相

2025年9月27日

ジェイムズ・ランデイル外交担当編集委員、オティリー・ミッチェル記者

パレスチナ・ガザ地区での戦争が終了したあかつきに、ガザで暫定的に行政を担当する機関が設置された場合、トニー・ブレア元英首相がそのトップとなる可能性が検討されていることが、BBCの取材で分かった。この案は、アメリカ政府が後押ししているとされる。

検討されている戦後ガザの暫定統治案では、国連と湾岸諸国が支援する暫定行政機構をブレア元首相が指揮する。暫定統治が終われば、パレスチナ人がガザ地区を統治することになる。

サー・トニー・ブレアの事務所は、ガザ住民の移住を伴う案は、どのようなももだろうと支持しない方針を示している。

ブレア氏は2003年、イギリス首相としてイラク戦争への参戦を決定した。今では、ガザ地区の将来をめぐりアメリカなど複数の諸国などが参加する高官級協議に参加している。

元首相は、8月にホワイトハウスでドナルド・トランプ大統領と会談し、ガザに関する計画について話し合った。アメリカのスティーヴ・ウィトコフ中東特使は、協議した計画を「非常に包括的」なものだと呼んだが、詳細は明らかにされていない。

英経済誌エコノミストとイスラエル・メディアの報道によると、この計画のもと、ブレア元首相が「ガザ国際暫定行政機構(GITA)」と呼ばれる組織のトップに就任する可能性がある。同機構は、国連の承認を得て、5年間にわたりガザの「最高政治・法的機関」として機能することを目指す。

この構想は、東ティモールやコソヴォの国家移行を監督した国際統治モデルを参考にしたもの。当初はガザ南部境界に近いエジプトに拠点を置き、地区内の情勢が安定し次第、国際部隊と共にガザに入る計画だ。

首相在任中、ブレア氏は誤った情報に基づき、大量破壊兵器の製造について確証がないまま、イラク戦争への参戦を決定したとして、公式調査で厳しく批判された。

2007年の退任後は、アメリカ、欧州連合(EU)、ロシア、国連からなる「カルテット」の中東特使を務め、パレスチナの経済発展と2国家解決の実現に向けた環境整備に取り組んだ。

ブレア氏と暫定行政機構に関する報道に先駆けて、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長は25日、トランプ氏および他の世界の指導者と協力して2国家解決の平和計画を実行する用意があると国連総会で表明していた。

アッバス議長は、ハマスが今後のガザ統治に関与することを拒否し、武装解除を求めた。

3月には、アラブ諸国が提示した、戦後のガザ復興に関する計画をアメリカとイスラエルが拒否した。この計画では、ガザに住む210万人のパレスチナ人がそのまま残ることを前提としていた。パレスチナ自治政府とハマスはこの案を歓迎し、独立した専門家による暫定統治委員会の設置と国際平和維持部隊の派遣を求めていた。

7月には、フランスとサウジアラビアが主導する国際会議がニューヨークで開催され、ガザに「パレスチナ自治政府の傘下で運営される暫定行政委員会」を設置する案が提案された。アメリカとイスラエルはこの会議に参加しなかった。このいわゆる「ニューヨーク宣言」について支持を表明する国連総会決議が今月初め、国連加盟国の過半数の支持を得て採択された。

今週初めには、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランスなど複数の国がパレスチナ国家を正式に承認した。アッバス議長は国連総会での演説で、デンマークを含むこれらの国々に感謝を述べたが、デンマークは現時点で承認しておらず、一定の条件が満たされた場合に限るとしている。

イギリスを含む各国は、ヨルダン川西岸地区およびガザ地区に独立したパレスチナ国家を樹立し、東エルサレムを首都とする2国家解決の実施を、改めて呼びかけた。

イスラエルとアメリカは、この動きを「ハマスへの報酬」だと批判している。

ハマスは2023年10月7日、南部イスラエルへの奇襲攻撃を主導した。この攻撃では、約1200人が殺害され、251人が人質となった。

イスラエル軍は直ちに報復攻撃を開始した。ハマスがガザで運営する保健省によると、これまでに少なくとも6万5502人がイスラエルの攻撃で殺害されている。

国連の調査委員会は、イスラエルがガザでパレスチナ人に対してジェノサイド(集団虐殺)を行ったと認定しているが、イスラエルはこれを否定している。

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