(CNN) 新たに発見された二つの彗星(すいせい)が今月地球に最接近し、空を駆け抜ける壮観な光景を見せてくれる。
彗星は氷、凍結したガス、岩石で構成されており、太陽などの恒星に接近すると熱によってガスや塵(ちり)を放出する。これが特徴的な尾を生み出す。
米アリゾナ州フラッグスタッフにあるローウェル天文台で小天体天文学を研究する博士研究員のチャン・キチェン氏によると、彗星「C/2025 A6 レモン」は1月3日に発見された。一方の「C/2025 R2 スワン」は、太陽に接近中の9月10日に初めて検知されたばかり。
熱心な天体観測者にとって、双眼鏡や望遠鏡で彗星を観察するには今が絶好の機会だ。両彗星とも太陽を周回する長周期の楕円(だえん)軌道を持つため、地球に接近するのは限られた期間だけとなる。
バーチャル・テレスコープ・プロジェクトが6日に捉えたスワン彗星の画像/Gianluca Masi/Virtual Telescope Projec
世界的な天文台ネットワーク「ラスクンブレス天文台」の博士研究員で天文学者のキャリー・ホルト氏によると、スワン彗星は次に現れるまで650~700年かかる。一方のレモン彗星は1300年間観測不能となる。
メリーランド大学天文学科の准研究員イェ・チュアンチ氏はメールで「スワン彗星は夕暮れ直後、空が暗くなってすぐの時間帯にのみ観測可能だ」と記した。「レモン彗星は現在、日の出直前に見えるが、まもなく夕刻のみに観測可能となる」
両彗星は地球から見て太陽近くに位置するため、観測できるのは1日の中でごく短い時間帯に限られると、イェ氏は付け加えた。
スワン彗星は10月20日に地球に最接近し、3860万キロメートルまで接近する一方、レモン彗星は10月21日に8850万キロメートルまで接近すると、イェ氏は述べた。
レモン彗星は北半球にいれば観測が可能。スワン彗星を観測するなら南半球にいる方がいいが、北半球でも観測可能になりつつあるとイェ氏は指摘する。
レモン彗星は11月上旬までの数週間でさらに明るくなる見込みだが、スワン彗星は急速に暗くなる公算が大きいと同氏は付け加えた。
11月から12月にかけて、レモン彗星は太陽の裏側に隠れる。その後は南半球の観測者だけが観測可能になるとイェ氏は述べた。
ホルト氏は、双眼鏡を使用し、光害のない暗い場所から観測することを推奨している。多数のアプリが彗星の位置をリアルタイムで表示してくれるという。
「スマホのカメラで観測を試みることも可能だ」「露出を数秒に長く設定して、空に向けてみるといい」(ホルト氏)
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