ベセント米財務長官は9日、急落していたアルゼンチン通貨ペソを米政府が直接買い入れたほか、アルゼンチン中央銀行と200億ドルの通貨スワップの枠組みで合意したと明らかにした。2022年10月撮影(2025年 ロイター/Agustin Marcarian)
[9日 ロイター] – 米財務省は9日、急落していたアルゼンチン通貨ペソを直接買い入れたほか、アルゼンチン中央銀行と200億ドルの通貨スワップの枠組みで合意した。不安定な同国を支えるというトランプ大統領の公約を実行に移した。これを受けアルゼンチンペソ相場は急騰した。
ベセント財務長官は「アルゼンチンは深刻な流動性逼迫に直面している。国際通貨基金(IMF)を含む国際社会はアルゼンチンの財政運営を支援しているが、迅速に行動できるのは米国だけだ。その一環として、(米政府は)アルゼンチンペソを直接購入した」とXに投稿。「米財務省には、市場安定化のため必要なあらゆる異例の措置を直ちに講じる用意がある」とした。
アルゼンチンの2035年償還債は4.5セント上昇し、額面1ドル当たり60.5セントで取引され、一時3%下落していたアルゼンチンペソは0.8%高の1ドル=1418ペソで取引を終えた。
アルゼンチン株(.MERV), opens new tabは5.3%上昇。米国市場で取引されているアルゼンチン株(.BKAR), opens new tabは13%急伸した。ベセント氏は、アルゼンチンのカプト経済相との4日間の協議を終えてペソ購入などを発表。協議にはIMFも参加していた。IMFは4月、アルゼンチンに対する新たな200億ドルの融資枠を承認している。
米財務省報道官は、政府が購入したアルゼンチンペソの規模のほか、アルゼンチン中銀との通貨スワップの構造などの詳細は明らかにしていない。ベセント氏の発表について、IMF報道官からコメントは得られていない。
米上院の民主党議員らは、米政府機関が閉鎖されているにもかかわらず、トランプ大統領が外国政府と世界の投資家を救済するために資金提供に動いていると不満を表明した。
米国の支援は、10月26日に行われるアルゼンチンの中間選挙で右派のミレイ大統領に追い風を吹かせる狙いもある。
UBSの新興国市場・アジア太平洋地域債券部門責任者、シャマイラ・カーン氏は、今回の発表はミレイ氏率いる与党の見通しを強める可能性が高いと述べた。
グラマシーのソブリン調査共同責任者、キャスリン・エクサム氏は、中間選挙が主要なイベントであることに変わりはなく、投票後の政策や為替調整も重要だと指摘した。
来週ワシントンでトランプ大統領と会談する予定のミレイ氏はXへの投稿で、ベセント氏とトランプ氏に感謝の意を表した。「最も親密な同盟国として、われわれは共に経済的自由と繁栄の世界を築く。国民に機会を提供するために日々努力する」と述べた。
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