大阪・西成の民泊ストリート

 特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)の問題が連日報道されている。舞台は特区民泊の認定数の95%が集中する大阪だ。ゴミ問題、騒音問題、管理者不在問題など、大阪市と大阪府の特区民泊の相談窓口には近隣住民からの不満の相談が日々押し寄せているという。

 加えて、経営管理ビザで日本に入った中国人による無責任な管理が日本人の憤りを生み、排外主義に結びつきそうな気配もある。特区民泊は改善の余地のない間違った政策なのか。現地を取材し、大阪府と大阪市に対して特区民泊廃止を求める要望書を提出したホテル中央グループ代表取締役社長の山田英範氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──大阪府と大阪市に対して、大阪府簡易宿所生活衛生同業組合(簡易宿泊業の免許を持つ事業者の集まる組合)から特区民泊廃止を求める要望書が提出されました。どんな問題意識をお持ちなのでしょうか?

山田英範氏(以下、山田):私が代表取締役社長を務めるホテル中央グループは、大阪市でホテルを7軒、アパートを3軒、コンビニを3軒経営しています。私が副理事を務める大阪府簡易宿所生活衛生同業組合から、特区民泊には大いに問題があるので、この制度の廃止を求める要望書を8月末に出しました。

 もともと特区民泊は、外国人観光客の増加に伴う宿泊不足を解消して、地域経済を活性化するために作られた制度です。大阪万博の開催に合わせて、インバウンドの著しい増加を想定して当時の橋下徹市長が導入を決めました。

 ところが、いざ万博が始まって何が起きているかというと、宿泊施設の不足という事態は起こりませんでした。インバウンドの影響で私たちの事業は潤っていますが、外国人観光客を収容しきれない状況ではありません。加えて、万博の影響による宿泊客の増加は、大阪市内ではありますが、市内を少し離れるとほぼ見られません。

 特区民泊を導入したことで、地域経済が活性化したという実感はありませんし、そうした話も聞きません。特区民泊はかなりの割合で中国人が経営していますが、お客の募集もインターネットで、中国人のお客に呼びかけているようです。中国人の観光客が、中国人が経営する特区民泊でお金を落として、中国人が儲かる構図になっているのです。

ホテル中央グループの山田英範社長

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──さまざまな問題が報じられていますね。

山田:ものすごい数の苦情が大阪市や大阪府に寄せられていますが、1つはゴミ出しの問題です。この辺りはだいぶ報道もされていますが、泊まった人たちが残したゴミが大量に民泊施設の外に放置されています。

 加えて騒音問題です。ホテルなどの宿泊施設は、商業エリアを中心としたいくつかの限定されたエリアにしか建てられないと法律で定められていますが、民泊は住宅地の中に点在しています。そこへ、夜中にガラガラとスーツケースを引いて人々が集まり、遅くまで大騒ぎされる方もいます。

──管理人はどこにいるのでしょうか?

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