ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.10.06 11:14
中国人観光客のビザ緩和をめぐる論争は韓国だけでなく日本でも「厄介な問題」の一つだ。地域経済のためには緩和を真剣に考えなければならないが、だからといって無条件に緩めるには世論が良くないという点で韓国と大差ない。だが日本は違っていた。賛否が割れると、韓国と違って暫定保留を選んだのだ。
この問題をめぐる日本政府の態度を、日本メディアは「回避」に近いとみている。共同通信は9月20日、「中国人観光客に対するビザ要件を緩和しようとする計画は、当初、今春に始まっているはずだったが、与党・自民党内部の反発で長い間遅れている」とし「外務省の高位当局者は『慎重な検討を続ける』と繰り返すだけだ」と伝えた。
事実上、世論の逆風を念頭に置いた政治的論理によって計画が漂流しているということだ。自民党の星野剛士外交部会長が今年1月、「なぜ急いでこのような判断をしたのか」と政府を叱責すると、外務省は「党からの指摘を重く受け止めている」と答えたのが代表的な例だ。
日本政府の中国人観光客ビザ緩和構想は、昨年末の岩屋毅外相の北京訪問を契機に具体化された。観光目的で日本を訪れる高所得層の中国人を対象に10年のマルチビザを発給し、現在15日の団体観光客ビザを30日に延長するという内容が骨子だ。昨年6月、中国が日本産水産物の輸入禁止措置を解除したことへの対応する性格を持っていた。
しかしオーバーツーリズム(観光客過剰現象)への不満と反中感情が結びつく兆しを見せると、政界がブレーキをかけた。毎日新聞は、中国人に対する否定的な回答が89%に達した世論調査を取り上げ、「党内保守派の反発には反中感情が根底にある」と分析した。岩屋外相らが「今回の措置がただちに中国人観光客の無秩序な急増につながるものではない」と説明しても、「なぜわざわざ中国と絡めて支持率を落とすのか」という党内の反発を抑えることはできなかったという。
オーバーツーリズムをめぐる疲労感が社会的に蓄積されている点も計画延期に影響を与えた。中央政府の政策決定によって発生したオーバーツーリズムの被害を、地方税収で克服しようとする宿泊税までもが社会的対立要因として浮上する兆しを見せている。TheJapanTimes(ジャパンタイムズ)は昨年宮城県ホテル旅館生活衛生同業組合による宿泊税反対事例を挙げ、「税の賦課が宿泊業者に行政的負担を増加させ、宿泊業の価格競争力を弱めかねない」と指摘した。
それでも経済性を理由に、中国人観光客ビザ緩和が必要だという声も無視できない。実際、今年7月の訪日観光客343万7000余人のうち、中国人は97万4500余人で最も多かった。2024年1年間の訪日外国人観光客は約3687万人で過去最多を記録したが、今年の場合、1~7月の間で約2495万5000人と、最多記録を再び更新する可能性が高い。コロナ禍以後、中国人が観光需要回復を主導していることから、ここに弾みをつけるべきだというのが旅行業界の主張だ。
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