メキシコの経済状況
メキシコ経済は1~3月期0.3%、4~6月期0.6%と事前予想に比べて堅調に推移した。トランプ政権の保護主義的な貿易政策の悪影響を最も受けると予想されていたメキシコは意外と健闘している。
実際IMF(国際通貨基金)は2025年のメキシコの成長は当初マイナス成長を予想していた。(7月時点の予想は0.2%成長)
とはいえメキシコの関税率は25%と高率で、USMCA準拠品に対する関税免除が継続していることに加え、最恵国待遇(MFN)の適用の二つの要因が深刻な景気悪化(輸出の落ち込み)を防いでいる状況。
しかしUSMCAの見直しに向けた手続きが正式に開始されたことにより、今後はUSMCA
見直しの交渉でトランプ政権からの圧力が強まる可能性もある。
このことがメキシコ中銀の利下げ継続の姿勢の一つの要因と思われる。
とはいえシェインバウム政権はトランプ政権と対話を重ねつつ対立を避けて、外交関係をうまくコントロールしている。
メキシコの金融政策
メキシコ中銀は9月25日に開催した金融政策理事会において予想通り、政策金利を25bp引き下げて7.50%にすることを決定した。
声明文で、「2025年第3四半期の初めに経済活動は停滞した」とし「不確実性と通商摩擦の環境は、大きな下振れリスクをもたらす」との見方を示した。経済活動のところで書いたように米国との関係次第での景気下振れリスクを警戒しているようだ。
また移民問題や労働市場の軟化などで米国からの送金減少が起こっているようで、このことが経済に対する悪影響になることも利下げの材料の可能性もある。
また米国が9月17~18日に0.25%の利下げを行い、今後利下げが継続される見通しであることもメキシコ中銀の利下げスタンスに影響を与えている。
次回11月6日、12月18日会合でも利下げスタンスが継続する可能性が高いと思われる。
メキシコペソの投資戦略
最近のメキシコペソは堅調に推移し年初来ドルに対して10%超の上昇となっている。またメキシコの代表的な株式指数であるボルサ指数は年初来25%ほど上昇している。
また米国が利下げを再開したことでドルから新興国に資金シフトが起こっているようで、最近は特に新興国通貨が対ドルで堅調に推移している。FRBの利下げが継続するようであればこの傾向は継続する可能性が高い。
ドルペソは9月に18.1960ペソ付近まで下落し年初来の高値を記録した。19ペソ付近に200日移動平均線が位置しここがレジスタンスとなり下落トレンド継続中と思われる。18.20付近が短期的なサポートとなり短期的には18.20~18.70のレンジを予想する。
ペソ円は9月に8.15円付近まで上昇し24年8月以来の高値に上昇した。
7.8円付近のレジスタンスを7月に上抜けして以来上昇トレンドが続いていたが、8.15円付近が短期的には高値となった可能性がある。ここまでレジスタンスになっていた7.8円付近に一目均衡表の雲の下限、200日移動平均線も接近しており7.8~8.15円のレンジを予想する。
【メキシコペソ/円 日足】
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新興国通貨が高金利である理由について
新興国に分類される国々は概して政治リスクや財政リスクが先進国よりも高く、したがってその経済的信用度は相対的に低い水準にあります。こうした条件下では海外投資家の資金を呼び寄せられず、経済発展の支障となるため、金利を上げたり税金を安くしたりすることで、信用度の低さを補いうる投資環境を構築しようとします。そのため新興国通貨は一般に先進国通貨よりも高金利となる傾向にありますが、前述したように各種リスクが高い水準にあることから、長期的には先進国通貨に比べて価値が下がる(=通貨が下落する)条件を備えているともいえます。
YEN蔵 氏
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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