10月2日、カナダ銀行(中央銀行)のメンデス副総裁は、対外的ショックが実体経済にどう影響するかをより適切に把握するため、重視する物価指標の計測方法を見直すことを検討していると明らかにした。写真は同行の建物。2024年12月、オタワで撮影(2025年 ロイター/Blair Gable)
[オタワ 2日 ロイター] – カナダ銀行(中央銀行)のメンデス副総裁は2日、対外的ショックが実体経済にどう影響するかをより適切に把握するため、重視する物価指標の計測方法を見直すことを検討していると明らかにした。
メンデス氏は、米国の貿易政策の揺らぎや構造的な変化、地政学上の紛争増大を踏まえると、物価上昇率は振れ幅が大きくなりつつあると指摘。「われわれはこの新しい現実に向き合う中で、基調的な物価上昇率の評価や言い方を考える必要がある」と語った。
カナダ中銀は来年、政府との間で5年ごとの金融政策の枠組みを点検する作業を行う予定で、物価指標計測を巡る検討はその一環だ。2%の物価上昇率目標は点検対象にならない、と中銀が既に確認している。
現在中銀が重視しているのは、コア消費者物価指数(CPI)のうちの「CPIメディアン」と「CPIトリム」。前者はCPI構成項目の変動の中央値、後者は最も極端な変動項目を除外したCPIだ。
メンデス氏は、いかにうまく設計されていても全ての指標が誤解を与えるシグナルを発する場合はあるとしつつも「われわれは既存のコア物価上昇率の指標を改善できる手立てがないかどうか自問しているところだ」と述べた。
新たな物価指標の選択肢の1つとして浮上しているのは、いわゆる「多変量コアトレンド物価上昇率」で、インフレが持続的で広がりを持つか、あるいは一時的かを分析する上で役立つとされる。
メンデス氏は、中銀が利用している既存の指標では住宅ローン金利負担がインフレに与える影響を判断するのが難しいと指摘。重視する指標と代替指標について、住宅ローン金利コストをあらかじめ除外する形に改定すべきかどうかは慎重に検討している問題の1つだと付け加えた。
またメンデス氏は、中銀がコア物価上昇率を計測する際に人工知能(AI)の活用も視野に入れていると話した。
一方メンデス氏は、基調的物価上昇率に関する指標の大半は約2.5%という伸びを示しており、先月中銀が半年ぶりの利下げを決めた要素の1つだったと説明した。
今後については基調的物価上昇率が鈍化すると信じるに足る根拠があるとしている。
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