10月2日、フランスのマクロン大統領はロシアの「影の船団」の一隻として運航していたと疑われるタンカー(写真)をフランスが拿捕したことについて、ロシアの対ウクライナ戦争の資金源を断つための欧州の新たな戦略の一部だと説明した(2025年 ロイター/Stephane Mahe)
[パリ 2日 ロイター] – フランスのマクロン大統領は2日、ロシアの「影の船団」の一隻として運航していたと疑われるタンカーをフランスが拿捕したことについて、ロシアの対ウクライナ戦争の資金源を断つための欧州の新たな戦略の一部だと説明した。
フランス海軍は9月27日、同国西部沖でタンカー「ボラカイ号」を捜査した。ボラカイ号は既に、ロシアの石油輸出に関与した容疑で欧州連合(EU)と英国の制裁対象となっていた。
船舶輸送データに詳しい2人のトレーダーによると、ボラカイ号は9月20日にフィンランドに近いロシアのプリモルスク港で国営石油会社ロスネフチが生産したウラル原油10万トンを積載し、インドのバディナール港へ向かっていた。
バディナール港にはインドの石油会社ナヤラ・エナジーが保有する製油所がある。ロスネフチはナヤラ・エナジーの発行済み株式の49%を保有しており、ナヤラ・エナジーに原油を供給している。
マクロン氏は、ドローン(無人機)が先週、デンマークの領空を侵犯した問題にボラカイ号が関与したかどうかはまだ結論に至っていないと付け加えた。領空侵犯によりデンマークの複数の空港が閉鎖された。当時、ボラカイ号はバルト海から北海へと向かう途中、これらの空港の近くを航行していた。
船舶の位置を表示するアプリ「マリントラフィック」によると、先週にドローンの領空侵犯によってデンマーク首都コペンハーゲンの空港が閉鎖された際、ボラカイ号はコペンハーゲンの南方沖90キロメートル近辺を航行していた。その後、この地域のいくつかの空港付近でドローンの飛行が報告された際には、ボラカイ号はデンマークの西方沖に移動していた。
デンマーク政府はドローンによる領空侵犯をハイブリッド攻撃だと非難、ロシアが関与しているとの見方を示した。ロシアは関与を否定している。
マクロン氏はコペンハーゲンで開かれたEUの会合で、ドローンによる領空侵犯へのボラカイ号の関与は否定できないとしつつも、これまでのところ証拠がないと説明した。ただボラカイ号に対する捜査は、ロシアの石油収入を限定するとともに、ウクライナ戦争の終結へ向けて圧力をかけるため、より厳しい行動を起こす幅広い計画の一環だと主張。「われわれは交渉の席に戻るようロシアを納得させるため、ロシアの対する圧力を強めたい」と述べた。
さらにマクロン氏は、北大西洋条約機構(NATO)加盟国はロシアの「影の船団」への対応を強化するため、より具体的な措置を向こう数日中に講じる方針だと話した。同氏は「影の船団」が800-1000隻あると推計している。
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