ロシアのプーチン大統領は2日、欧州大陸で「ヒステリックな軍事化」が進んでいるとの認識を示し、欧州がロシアを挑発すれば速やかに対応すると述べた。写真はモスクワで9月撮影(2025年 ロイター/Ramil Sitdikov)
[ソチ(ロシア南部) 2日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は2日、ロシアを「張り子の虎」と呼んだトランプ米大統領の発言に反発し、欧州がロシアを挑発していると判断すれば、速やかに対応すると警告した。また、米国がウクライナに巡航ミサイル「トマホーク」を供与すれば危険なエスカレーションにつながるとの懸念を示した。
プーチン大統領は黒海沿岸のロシア南部ソチで開かれた「バルダイ討論クラブ」で、米国主導の北大西洋条約機構(NATO)同盟国のほぼ全てが現在、ウクライナを巡り「ロシアと戦っている」という認識を示した。
ロシア軍はウクライナの全戦線で前進していると指摘した上で、「この張り子の虎に対処してみればよい」とし、「ロシアが張り子の虎であるのなら、NATOは何なのか」と反発。軍事分野でなおロシアと競おうという者がいるなら、試してみればよい」とし、「ロシアは間を置かずに対抗措置を講じる」と警告した。
また、NATO諸国は、ロシアがNATO加盟国を攻撃する計画があるというヒステリーをあおっていると非難。「冷静になり、自分自身の問題の解決に当たってもらいたい。欧州の都市で何が起きているか、考えてみてほしい」と述べた。
ウクライナでの戦争が継続している責任は欧州にあるとも指摘。和平への取り組みを続けるBRICS諸国やアラブ諸国に謝意を示すと同時に、北朝鮮とベラルーシにも感謝の意を示した。
米国がウクライナにトマホークを供与する可能性については、「トマホークは米軍要員の直接的な関与なしに使用することはできない」とした上で、「ロシアと米国の関係を含め、全く新たな性質を持つエスカレーションを意味する」と警告。トマホークはロシアに損害をもたらすことはできるとしながらも、ロシアは撃墜し、自国の防空体制を強化するだけだと述べた。
米国はこれまでのところ、ウクライナへのトマホーク供与に関する決定は発表していない。
プーチン氏は、米国との関係を全面的に回復することを目指しているとも表明。ロシアと米国との間に大きな相違が存在するものの、こうした見解の相違は大国の間では自然なことだと述べた。8月にトランプ米大統領と米アラスカ州で行った会談で、ウクライナでの戦争の解決策に加え、米ロ関係の再建についても協議したとし、トランプ氏は「人の話をよく聞く人物」だと感じたと語った。
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