公開日時 2025年10月02日 16:40更新日時 2025年10月02日 17:17
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ドイツ統一の象徴となっているベルリンのブランデンブルク門=1日(共同)
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共同通信
【ベルリン共同】冷戦時代に40年以上にわたり分断が続いた東西ドイツの統一から3日で35年。ドイツは東西統合に加え、欧州連合(EU)発足や大量の移民・難民の流入、ロシアのウクライナ侵攻など激変する環境への対応を迫られた。今も東西格差は残り、旧東ドイツ地域の不満は政治的右傾化という形で表面化し「新たな壁」の存在が指摘される。
「国家だけでなく、人々の統一も成し遂げられるかどうかは、一人一人の行動やお互いの思いやりで決まる。成功を確信している」。1990年10月3日の式典の演説で、統一ドイツの初代大統領となったワイツゼッカー氏は国民に呼びかけた。
だが今年9月の調査機関フォルザの調査では「東西の人々は一つの国民になれたと思うか」との問いに61%が「分断の方が上回っている」と回答した。東側の住民に限定すると75%を占め、一体感とはほど遠い状況が浮き彫りになった。
背景には歴然とした東西格差がある。2005年に西側の2倍ほどだった東側の失業率は大幅に低下したものの、24年になっても西側を1・8%上回っている。
大企業の本拠地がほとんど西側で、東側は中小企業が中心という構図も変わらず、若者が流出し高齢化が進んでいる。ドイツ政府は報告書で「東側は大きく追い上げたが、西側と同等の生活水準を達成するにはまだ課題が残っている」とした。
格差解消が道半ばの中、15年の欧州難民危機で中東などから大勢の難民や移民が流入すると、東側を中心に排外主義的な右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が台頭。17年に国政進出し、今年2月の総選挙では第2党に躍進した。26年に州議会選が予定される東側2州の世論調査では首位を走っている。
歴史家のイルコサシャ・コワルチュクさん(58)は東側で右傾化が進んでいる理由について「人口流出が続いた結果、男性の割合が過剰に高く、高齢化も進んでいる」といびつな社会構造を指摘。「過激化の土壌がある」との見方を示した。
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