10月2日、中国とマレーシアはレアアース(希土類)の処理プロジェクトを巡り初期段階の協議に入っている。写真は、中国江蘇省連雲港市の港で、輸出用のレアアースを含む土壌を運搬する作業員。2010年10月撮影(2025年 ロイター)
[クアラルンプール/北京 2日 ロイター] – 中国とマレーシアはレアアース(希土類)の処理プロジェクトを巡り初期段階の協議に入っている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
マレーシア国内にレアアースの精製施設を建設するため同国の政府系ファンド(SWF)であるカザナ・ナショナルが中国の国有企業と提携する方向という。
この合弁事業が実現すれば、中国としては従来の政策から大きく踏み出すことになる。世界最大のレアアース生産国である中国はこれまで、世界のレアアース業界における支配的な地位を守るため、処理技術の輸出を禁止してきた。
両国の交渉について知るマレーシアの関係者2人の話では、中国はオーストラリアのレアアース大手ライナス・レアアース(LYC.AX), opens new tabとの競争を限定するため、マレーシアの未開拓のレアアース資源を採掘する技術を供与する用意がある。
ライナス・レアアースはマレーシア中部パハン州にレアアース処理施設を保有している上、今年5月には東部クランタン州と将来の炭素レアアース化合物の供給に関する契約を締結した。
マレーシアの天然資源省、貿易省はコメント要請に返答していない。
カザナのヒシャム・ハムダン最高投資責任者(CIO)はロイターとのインタビューで、協議入りに関する確認を避けつつ、ファンドとして検討している産業にレアアースが含まれていることは認め、政府レベルの話だと述べるにとどめた。
中国国務院弁公室は祝日のため取材に応じていない。
一方でこの計画は、マレーシアが精製施設向けに十分なレアアース原料を供給できるかを中国が不安視するなど、いくつかの課題に直面している。
2人の関係者によると、マレーシアでは環境への影響や規制の障壁も懸念されている。同国では通常、鉱業事業は州当局と連邦政府当局の双方から認可と免許の交付を受ける必要がある。
また、マレーシアはこれまでに森林保護区や水源の取水地区など環境に配慮する必要のある地域ではレアアースの採掘を認めないとしてきた。
マレーシア政府は国内のレアアース埋蔵量を約1610万トンと推計しているが、同国にはレアアースを採掘・処理する技術がなかった。
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