イタリアの財政赤字は今年既に、欧州連合(EU)が定める上限の国内総生産(GDP)比3%を達成できる見通しだ。同国の財政計画に詳しい関係者が明らかにした。
この数字は2日の閣議で承認される予定の文書に記載されていると、協議がまだ続いているとして匿名を要請した関係者が述べた。この文書には今年の経済成長率は0.6%、来年は0.7%になるとの予測も盛り込まれているという。
イタリア財務省は、予算がまだ最終決着していないとしてコメントを控えた。
EUが義務づける上限まで財政赤字を抑えることができれば、イタリアはEUの過剰財政赤字是正手続きから脱却できる可能性が生まれる。この手続きは赤字が上限以上に膨らんだ国々を対象に、EUが公的財政を厳しく監視するものだが、脱却となればこれまで見込まれていたよりも早期の達成になる。
この脱却は、かつてEUにおける財政の底辺と見なされたイタリアの急速な回復ぶりと、その不名誉な地位にはフランスが転落しつつあるとの印象を強める。だが、イタリアが得るのはイメージの好転だけでなく、現実的な恩恵もありそうだ。
例えば、これによりイタリアはトランプ米大統領がGDP比5%の支出を求める防衛費の拡大が可能になる。
また、格付け会社による評価の引き上げを促し、借り入れコストの低下につながる可能性もある。既にフィッチ・レーティングスは9月19日、2021年以来となるイタリアの格上げを発表した。
ジョルジェッティ財務相は9月、EUの財政赤字基準を前倒しで達成することは可能だと述べていた。イタリアは2019年以来、EUの上限を上回る財政赤字を続けていた。
原題:Italy Budget Draft Puts Deficit at EU’s 3% Limit Already in 2025(抜粋)
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