国連総会一般討論で演説する韓国の李在明大統領=23日、米ニューヨークの国連本部(写真:共同通信社)

 対米関税交渉で大きくつまずいてしまった韓国の李在明(イ・ジェミョン)政権が、連日、米国に対する強硬発言を連発し、韓国国民の胸の中にある反米感情を掻き立てている。

 国連総会に参加した李在明大統領はトランプ大統領をあてこするような演説で注目を浴びたばかりか、トランプ大統領主催の晩餐会も「戦略的距離置き」としてボイコットした。

 同時期、韓国与党は国会で米国を糾弾する集会を開催。一連の動きは、韓国政権と与党が関税交渉の失敗をトランプ大統領のせいにするため反米扇動に乗り出したようにも読み取れる。

「米国にNo」の姿を演出

 李在明大統領は、国連総会出席のため、9月22日から26日までの日程で米国・ニューヨークを訪問した。大統領府では「国連で国際社会との連帯を強化し、グローバル責任強国として大韓民国の地位を高める、多様な外交活動を展開する計画」と説明した。

 李大統領の国連総会出席の表面的な理由は、安保理議長国として安保理公開討論をリードするというものだ。国連安保理の15の理事国がアルファベット順に1カ月ずつ議長国を務め、討論と会議を主宰する仕組みになっているが、ちょうど25年9月は韓国が議長国にあたっていた。

 理事国の首脳なら誰もが順番で回ってくる役回りでしかないのだが、対米関税交渉の行き詰まりにより国内で厳しい世論にさらされていた李在明大統領は、これを絶好の機会と考えたようだ。

「国連は数多くの国際機関の一つに過ぎない」という見方が国際社会にはあるが、朝鮮戦争当時、国連軍の助けを受けた韓国では、国連を高く評価する傾向がある。韓国人のこのような性向をよく知っている李在明政権は、「国連総会で議長国として安保理会議を主宰する韓国初の大統領」というキャッチフレーズを強調し、支持率回復を狙ったのだろう。

 そのためには、もともと反米感情が強い政権のコア支持層を結束させるために「米国にNo!と言える」勇敢な大統領の姿を演出する必要があった。

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