米司法省に起訴されたジェームズ・コミー元FBI長官(2017年6月8日資料写真、写真:AP/アフロ)

ついにNYT論説陣が「宣戦布告」

 米ニューヨーク・タイムズ(NYT)の専門知識、調査研究、議論、そして長年にわたる価値観に基づき意見を形成する“うるさい”ジャーナリスト十数人からなる論説委員会(Editorial Board)がついに立ち上がった。

「コミー起訴は、米国を新たに深刻な局面に突入させる」と題した論説で、以下のような内容を論じている。

●バージニア州で過去1週間に起こった一連の出来事は、過去50年間で最も深刻な法執行機関のスキャンダルと言えるだろう。

●ドナルド・トランプ米大統領は、2024年の大統領選で「敵を徹底的に処罰する」と約束し、自分の意に沿わない人物を捜査するように指示する者を(連邦検事に)指名したのである。

●しかし、これはまだ始まりに過ぎない。トランプ氏は捜査の指示にとどまらず、捜査結果まで操作しようとしている。

●彼はもはや、法が公正であるという建前すら捨てた。公正かつ平等な法の適用という、米国の司法制度の根幹を揺るがしているのだ。

●過去の独裁者がそうであったように、彼は政治的権力だけを理由に自分を敵視する人物を弾圧している。これは、「我は国家なり」(L’État, c’est moi=the state, it is I :I myself am the nation)*1という古代の王権の理念を彷彿させる。

*1=「朕(我)は国家なり」はルイ14世による、17世紀フランスの絶対王政を象徴する言葉とされる。

(Opinion | The Comey Indictment Plunges the Country Into a Grave New Period – The New York Times)

 この記事を読んだワシントン政界ウォッチャーのK氏は、筆者にメールを送ってきた。

「驚くべきこと。ニューヨーク・タイムズの論説委員会は、(ようやく!)肝が据わったようだ」

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