イタリア・ローマのレストラン【写真:Aflo】
日本人にとってはなじみ深い、パスタの定番メニュー・カルボナーラ。本場イタリアの正統派カルボナーラは、実は驚くほどシンプルな材料だけで作られているのをご存じでしょうか。それどころか、日本で当たり前に行われているあるアレンジが、イタリア人にとってはナポリタン以上に「絶対に許せない」大タブーになっているといいます。フードジャーナリスト・斎藤理子さんが本場で目撃した、イタリア人が「マンマ・ミーア!」と叫んでしまう衝撃の瞬間と、知られざる真のカルボナーラの世界をお伝えします。
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日本流“魔改造パスタ”の魅力と本場イタリア人の反応
麺文化の歴史が古い日本では、海外の麺料理に対してもとても寛容で、積極的に食文化へ取り入れていますよね。麺は中国の黄河流域で発祥し、それが東西に広まっていったとされています。中国はもちろん、東アジアの日本や韓国、東南アジアのタイやベトナム、ヨーロッパのイタリアなど、麺料理が発達している国はほかの料理もおいしいというのが私の勝手な持論ですが、あながち間違ってもいないように思います。
シルクロードを伝わって、イタリアに入ってきた麺料理はパスタになり、そのおいしさや食べやすさで世界中に広まりました。いまや地球上のどの街へ行っても、パスタに出合うことは難しくありません。ソースの材料さえ気をつければ、ヴィーガンだろうと、宗教上の禁忌食があろうと誰でも食べられるパスタは、手軽でおいしいメニューの代表選手だといえます。
その分、現地流に“魔改造”されたパスタもたくさんあり、パスタがソウルフードであるイタリア人をイライラさせることになります。海外の食文化を取り入れて、それをより洗練させ独自のおいしいものに昇華させていくのは日本のお家芸ですが、パスタも例外ではありません。
明太子イクラパスタやキノコバターしょうゆパスタなど、挙げていったらきりがありませんが、日本流に“魔改造”されておいしくなったパスタは無数にあります。“パスタ原理主義者”のイタリア人も思わず「うまい!」と言ってしまいますが、最後に負け惜しみのように「でも、これはイタリア料理じゃないよなぁ」と言うのがお決まりです。
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