「手頃」なSUVモデル発売へ

米国のEVメーカーであるリビアンは、欧州市場への進出を計画しており、その一環として英国でも右ハンドル仕様を発売する予定だ。

同社はこれまで北米のみで事業を展開し、約6万ポンド(約1200万円)のSUV『R1S』とピックアップトラック『R1T』の2車種を販売してきた。しかし昨年、欧州への輸出を視野に開発された小型(全長4.7m)で手頃な価格の『R2』を発表した。

リビアンR2リビアンR2    リビアン

9月上旬に開催されたミュンヘン・モーターショーで、リビアン創業者兼CEOのR・J・スカリンジ氏はAUTOCARの取材に応じ、2026年前半に新型R2を北米で発売し、価格は約4万5000ドル(約670万円)からになると述べた。その後、欧州での販売も予定されているという。

欧州市場に左ハンドル仕様を導入した後、英国にも右ハンドルのR2を投入するが、英国での発売時期は未定だ。

R2はテスラ・モデルYの競合となるミドルクラスSUVで、航続距離480km以上、シングルモーター/後輪駆動またはデュアルモーター/四輪駆動のパワートレインを備える。

R2より小型の『R3』もあるが、欧州への投入時期は定かではない。リビアンはまた、ラリーレイドスタイルの高性能版『R3X』も公開している。

スカリンジ氏は、欧州市場におけるポジショニングについて「憧れを抱かせつつ、現実的な選択肢となるブランド」として位置づけたいと述べた。

「この2つを両立させるのは稀です。価格が下がると魅力も低下するケースが多い。しかし、R2とR3は違います。手頃な価格帯でありながら、特別な存在感を持っているのです」

「細部に至るまで、自分の仕事を愛する人々によって開発されたものだと感じることができるでしょう。4万ドル未満のクルマではあまり得られない感覚です。多くの場合、開発者が単に業務を遂行し、仕様書の順守に終始しているだけのように感じられます。しかし、当社の車両は、素材選定やパネルに至るまで、あらゆる要素を徹底的に議論した末に作り上げられたものです」

VWグループにも採用されたソフトウェア

R2は、昨年大幅改良を受けたR1シリーズと同じ第2世代技術プラットフォームを採用する。

リビアンのソフトウェア定義型車両(SDV)開発アプローチでは、プラットフォームのECUを3つのゾーンに集約することでユニット数を削減している。

リビアンR2リビアンR2    リビアン

このシステムはフォルクスワーゲン・グループも約60億ドル(約8900億円)の契約の一環として採用しており、その派生版が2026年に新型ID.1および関連モデルに導入される予定だ。

「この技術プラットフォームは非常に堅牢で拡張性が高く、当社の2車種だけでなく、ID.1やフォルクスワーゲン・グループ全製品群を通じた大量生産のメリットも享受できます」とスカリンジ氏は述べた。

「これにより、これまで以上に調達面での優位性を得られるようになります。さらに、コスト最適化、車内体験の向上、そして高度な人工知能を基盤とした統合・最適化といった面でも、新たな可能性が広がります」

スカリンジ氏は、フォルクスワーゲン・グループとの提携による技術面でのメリットに期待を寄せつつ、リビアンでは高い生産目標を掲げている。

「当社の目標は年間数百万台を生産することです。これまでもお伝えしてきたように、最終的には各市場で少なくとも10%の市場シェアを獲得したいと考えています」

この目標達成のため、リビアンは北米と欧州に注力する方針であり、今のところ中国市場は視野に入れていない。

現在、リビアンは米国イリノイ州に生産工場を1か所保有し、ジョージア州でもまもなく新工場の建設を開始する。スカリンジ氏は、長期的には欧州での現地生産も目標にしていると述べた。

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