米政権、ブラジルと南アを人身取引「監視リスト」に 関係緊張に拍車も

9月29日、 米国務省は公表した今年の「人身取引報告書」で、ブラジルと南アフリカを「ティア2監視リスト」に区分し、人身取引対策の進展が不十分との認識を示した。写真は同省のロゴと米国旗のイメージ。4月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[ワシントン 29日 ロイター] – 米国務省は29日公表した今年の「人身取引報告書」で、ブラジルと南アフリカを「ティア2監視リスト」に区分し、人身取引対策の進展が不十分との認識を示した。関税や人種問題で既に生じているトランプ政権と両国の緊張関係に新たな火種が加わる可能性もある。

人身取引報告書は、世界各国の強制労働や性的搾取などの実態と対応状況を評価したもの。ティア2監視リストは、最低基準を満たしてないが努力はしているとされる国のうち、特に懸念される国が入り、改善が見られない場合は制裁が科される恐れがある。

南アについては「初の下部自治体レベルでの対策チーム立ち上げや関連犯罪者への有罪判決増加を含め相当な努力が見られるものの、政府の被害者特定や犯罪捜査、訴追件数が少なくなった」と指摘した。

ブラジルも政府の捜査・訴追件数が以前より減少し、裁判所による有罪判決の報告も減ったという。

報告書の公表は当初予定よりも3カ月近く遅くなった。担当部門の人員がほとんど解雇されたことが原因だ。

国務省のリガス副長官(管理・資源担当)は7月の議会証言で、今年同省が1300人余りを削減した措置の一環として、報告書作成に携わる部門の人員は71%減少したと明らかにした。

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