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画像説明, 2022年に独ベルリンの会議に出席した羅冠聰(ネイサン・ロー)氏
9時間前
ケリー・アン記者、テッサ・ウォン・アジアデジタル記者(BBCニュース)
香港の民主化活動家で、現在は中国国外に逃れている羅冠聰(ネイサン・ロー)氏が、ビザ(査証)を発給されていたにもかかわらず、シンガポールへの入国を拒否された。シンガポール当局は、羅氏の滞在が「国益に適さない」と述べている。
現在イギリスで亡命生活を送る羅氏は27日、「非公開・招待制」の会議に出席するためシンガポールに到着したが、入国審査で4時間にわたり拘束されたと話した。
羅氏はBBCに対し、「質問は一切されず、入国拒否の理由も示されなかった」と述べた。
シンガポール内務省の報道官はBBCの取材に対し、「羅氏の入国および滞在は、シンガポールの国益に適さない」と述べた。
また、「ビザを取得していても、入国時には追加の審査が行われる場合がある。羅冠聰氏の場合もそれに該当する」と説明し、羅氏が到着後に「事情聴取および入国管理と安全保障に関する審査」の対象となったと付け加えた。
シンガポールは、外国の政治について慎重な姿勢を取ることで知られている。政府は昨年発表した声明の中で、「他国の政治をシンガポールに持ち込むことに対して、明確かつ強い立場を取っている」と述べている。
羅氏は声明の中で、入国拒否の理由は「政治的」なものだと考えると述べた。一方、「外部の勢力、例えばPRC(中華人民共和国)が直接的または間接的に関与しているかどうかは分からない」と話した。
羅氏によると、数日間の「一度限りの入国」を可能にするビザを申請し、出発の3週間前に承認されたという。また、イギリスの難民渡航文書を所持していると述べた。
羅氏は28日、出発地だった米サンフランシスコ行きの最も早い便で送還された。
羅氏が出席予定だったイベントの主催者は、コメントを求めたBBCの取材に応じなかった。
羅氏は、香港の民主化運動で最も著名な人物の一人。2014年の民主化デモ「雨傘運動」を主導し、収監された経験を持つ。2016年には、やはり著名な民主化活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏と、民主化を求める政党・香港衆志(デモシスト)を立ち上げ、党首を務めていた。
羅氏は2021年、イギリスで亡命を認められた。
シンガポール当局が香港の民主化活動家に関して措置を講じたのは、今回が初めてではない。2019年には、数年前にオンラインフォーラムに黄氏がリモートでで参加したとして、このフォーラムを開催したシンガポール人活動家に罰金を科している。
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