【西山真瑚〈後編〉】「2人で1つの目標へ」アイスダンスで学んだこと/カナダ発
フィギュアスケート・アイスダンスの西山真瑚(23=オリエンタルバイオ)が7月下旬、拠点のカナダ・モントリオールで単独インタビューに応じました。同11日に田中梓沙(19)との「あずしん」カップル解消を発表し、現在は新パートナーを模索しています。
全2回の後編では、アイスダンスで学んだことや昨季の競技会で最も印象深かった出来事について語りました。
フィギュア2025.08.17 11:00
拠点のモントリオールで単独インタビューに応じた西山真瑚(撮影・藤塚大輔)
「アイスダンスで培った」かつては苦手だったコミュニケーション
―2019年にアイスダンスを始めてから6年となります。競技を続けていく上でどのような点に難しさを感じますか
「もちろん、技術面も難しいですが、2人で1つの目標へ向けて動いていくところが難しいです。同じ方向を見ていたとしても、人によっていろいろな価値観があるので、お互いを尊重しながら歩んでいかなければならない。それができるだけの心の余裕も必要になります。競技をしていると『結果を出さないといけない』という焦りも生じますが、『自分たちは自分たち』と思う気持ちも大切です。そのバランスを取るのがかなり難しいなと思います」
モントリオールのダルメス広場に立てられたメゾヌーヴの像
―2人がバランスを保つためには何が重要だと感じますか
「コミュニケーションが本当に大切だなと思っています。一方が何を考えているか分からなかったら、もう一方も不安になってしまう。思いを伝えるにしても、うまく伝えないと、相手がより不安に感じたり、嫌な気持ちになってしまったりします。それは難しいことですが、1つ1つが学びになっていました。どう関わるべきか、どうコミュニケーションをとるべきか。アイスダンスを始めてから特に学んできたことであり、梓沙ちゃんとのパートナーシップでは生かせたかなと思います」
―7月のオンライン配信や取材の様子を見ていると、自分の思いを言葉にするのが上手だと感じていました。元々はそうではなかったですか
「それはアイスダンスで培ったのかなと思います。昔は話すことが苦手で、家族からも『ちゃんと話しなさい』と言われていたくらいです(苦笑)。アイスダンスを始めて、話さないと何も始まらないと気付きました。シングルの頃は話すタイプではなかったので、インタビューも苦手でしたが、アイスダンスを始めてからは少しずつ変わったと思います」
メダリストオンアイスで演技を披露する田中梓沙(左)西山真瑚組(2024年12月撮影)
―クリケット・クラブでアイスダンスを始めましたが、海外という環境もまた、コミュニケーションの大切さを実感することにつながりましたか
「そう思います。今は日常生活も何とかなるくらい英語ができるようになりましたが、はじめは全くできなくて、その分、言語で何かを伝えることの大切さを学びました。伝えられるようになれば、もっと理解もしてくれる。そうすればレッスンの深みも出てくる。それから海外の先生と選手の関係性に触れたことも、大きかったように思います。海外では先生から『週末は何をしていたの?』『今日の朝は何をしてきたの?』と、スケート以外の話題を出されることが多いんです。そういった何気ないやり取りも、先生と生徒の関係を深めることにつながります。『コーチと選手』という関係ではなく、お互いを尊敬し合っていれば、もっと深まると学びました」
昨秋NHK杯は「本音でぶつかり合った」
―コミュニケーションの取り方は、アイスダンスを始めてからすぐに変化していきましたか
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岐阜県不破郡垂井町出身。2022年4月入社。同年夏の高校野球取材では西東京を担当。同年10月からスポーツ部(野球以外の担当)所属。
中学時代は軟式野球部で“ショート”を守ったが、高校では演劇部という異色の経歴。大学時代に結成したカーリングチームでは“セカンド”を務めるも、ドローショットに難がある。
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