9月26日、中国仏山市の楽従地区は、巨大な家具市場が軒を連ね、「家具王国」と呼ばれる家具製造業の集積地だ。同地区の家具市場で同日撮影(2025年 ロイター/David Kirton)
[仏山市(中国広東省) 26日 ロイター] – 中国仏山市の楽従地区は、巨大な家具市場が軒を連ね、「家具王国」と呼ばれる家具製造業の集積地だ。米国への家具輸出には10月1日から30%の関税がかかるが、当地の販売業者からは「以前から米国市場は諦めていた」との声が聞かれた。
トランプ米大統領は25日、布張り家具に30%の関税を課し、10月1日から施行すると発表した。輸入台所用キャビネットと洗面化粧台には50%の関税が導入される。
布張りの椅子を製造するハンセン・アウトドア家具社の営業マネージャー、フェン・ジュンユアン氏は、米国市場はかつては利益が出ていたが、最近ではすでに依存を減らしていたと話す。
「昨年11月に関税導入の見通しがはっきりして以来、米国市場にはほとんど時間を割いていない。米国から来る人は誰もいないし、私たちも販売しようとしていない。とにかく高すぎる」と、同氏はロイターに話した。
楽従は珠江デルタにある製造業の集積地の一つであり、合板のテーブルから豪華な革張りのソファまでさまざまな製品を販売する小売店や卸売業者、販売業者がひしめく180以上の家具市場が並んでいる。
楽従商工会議所のウェブサイトによれば、同地区には30年以上前、収益性と利益率の高い欧州や北米の市場を含む海外顧客に対応したことで、中国でも最初の家具市場ができた。
しかし近年では、地政学的緊張や関税、そして労働コストと生産コストの上昇により、製造業者が打撃を受けた。中国国内市場も、景気後退と不動産市場の低迷による消費不振にあえいでいる。
フェン氏は従業員数を最盛期の4分の1ほどの10─20人にまで削減した。現在、製品の約60%を国内、40%を海外で販売しており、インドとアフリカが主な輸出先となっている。
「あなたのワンストップ家具パートナー」といったスローガンが掲げられた市場内にある中高級ソファメーカー、ハンフェイ家具のジン・ユン社長は、今年の業績は平均的で、顧客の大半は中東と東南アジアだと語った。
「昨年の関税引き上げは大きな影響があった。当時はまだ2社の米国顧客がいたが、関税が発動されると注文がキャンセルされ、売上がなくなった」と同社長はロイターに話した。
「家具業界に限らず、あらゆる業界のメーカーにとって状況は厳しい。市場は縮小し、競争も激化しているが、生き残りたい」
<米国の家具産業復活を誓うトランプ氏>
今回の関税は、トランプ氏が8月にノースカロライナ、サウスカロライナ、ミシガンの3州の家具産業を復活させると約束したことを受けて発動された。
政府統計によると、米国の家具・木製品製造業の雇用は2000年以降半減し、現在は約34万人となっている。
ほとんど人がいない楽従のショールームで携帯電話をいじっていたある販売マネージャーは、「米国には販売しない、という訳ではない。喜んで売る。でもパンデミック以降、米国人の客を見かけなくなった」 と話した。
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