茨城県最高峰「八溝山」へ。奥久慈エリア随一の 九十九折りを駆け上がれ|IBARAKI YAMIZOSAN Hill Climb
茨城県、福島県、栃木県の県境にそびえる八溝山は、標高1、022mを誇る茨城県の最高峰だ。
ヒルクライマーたちの間では、山頂へと続く険しい道のり、特に「九十九(つづら)折り」と呼ばれる激しいヘアピンカーブが続く区間で知られている。
緑豊かな奥久慈の自然を全身で感じながら、走りごたえのある本格的なヒルクライムに挑戦しよう。
八溝山、東と西 どちらからチャレンジする !?
八溝山ヒルクライムの魅力は、表情の異なる2つのルートを選べることにある。今回のモデル仲谷あいさんが「これぞ飴と鞭! って感じの勾配の変化で、しんどいのが続くわけではないのでノリと勢いで登れる! 」と語るように、どちらも挑戦しがいのある本格的なコースだ。自分の脚質やその日の気分で、どちらから頂上を目指すか考えるのも、この山を訪れる楽しみの一つと言えるだろう。
まず西ルートは、八溝嶺神社の鳥居を過ぎてから本格化する八溝林道が舞台だ。距離は約6。9㎞と比較的短いが、平均勾配は8。5%と手強い。データ以上に挑戦者を苦しめるのが、仲谷さんの言う「飴と鞭」のレイアウトだ。序盤こそゆるやかだが、中盤からは10%を超える勾配が断続的に現れ、油断していると一気に脚を削られる。特に終盤にかけては13%に達する激坂もあり、まさに「鞭」がサイクリストを打ちのめしにかかる。路面は一部舗装が荒れている箇所や、日陰には苔が生えている場所もあるため、パンクやスリップには注意が必要だ。ルートの大部分は木々に覆われた薄暗い林道で、まるで冒険をしているかのような雰囲気を味わえる。視界が開ける場所は少ないが、静かな森の中で己と向き合い、黙々とペダルを漕ぐストイックな走りを好むクライマーにオススメだ。
一方、東ルートは県道248号八溝山公園線を上る。距離は西ルートより長い8。1㎞で、平均勾配は7。4%。こちらは全線が綺麗に舗装されており、路面状態は非常に良好だ。平均勾配の数値上は西ルートよりゆるやかに見えるが、決して楽なコースではない。このルートのハイライトは、中盤の連続した九十九折りだ。ドローンからの空撮写真で見られるような、幾重にも折り重なる九十九折りの道を、一つ、また一つと着実にクリアしていく達成感は格別だ。
西ルートに比べて視界が開ける区間が多く、時折現れる絶景ポイントでは眼下に広がる奥久慈の山々の景色を楽しみながら上ることができるのも大きな魅力だ。走りやすさと景観を重視するなら、東ルートを選ぶのが良いだろう。
どちらのルートも山中に自販機や商店は一切ないため、スタート前の水分や補給食の準備は必須となる。また、山頂付近は天候が急変することもあるので、ウインドブレーカーなどの防寒着も準備しておきたい。「最初は『山頂まで〇㎞』という看板を見たくないと思いましたが、後半になると逆に元気が出ました! 」という仲谷さん。最後まで諦めずに茨城県最高峰のゴールを目指してほしい。

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