米アップルの新型スマートフォン「iPhone 17」シリーズの製造過程で、中国の工場に勤務する労働者が過酷な環境下に置かれていたことが、ニューヨークの非営利団体(NPO)、チャイナ・レーバー・ウオッチ(CLW、中国労工観察)の報告書で分かった。
報告書によると、iPhoneの組み立てを受託する台湾の鴻海精密工業(フォックスコン・テクノロジー・グループ)の鄭州工場で働く従業員が、賃金支払いの繰り延べや過剰な残業、夜勤の強制などの問題に直面していたという。報告書の調査対象期間は3-9月で、アップルやサプライヤーが最新機種の生産を準備していた時期に相当する。
同報告書は、労働権侵害が懸念される事例が複数あるほか、フォックスコンが多数の「派遣」労働者を雇用し、中国の法律に違反している疑いがあると指摘している。また「不安定な受注」が現場でのプレッシャーや威圧的な環境を生んでいると非難した。
これに対し、アップルは発表資料で「労働や人権、環境、倫理規範については最高水準を堅持している」と反論。「当社のサプライヤーは安全な労働環境を提供し、労働者を尊厳と敬意をもって扱い、公平かつ倫理的に行動するとともに、アップル向けに製造しサービスを提供する場所がどこであっても環境に責任ある行動を果たすことが求められる。われわれは定期的に第三者による監査を実施し、サプライチェーンのどこで問題が生じても高い基準が守られるよう迅速に対応する。この件についても、アップルのチームが現地に入り直ちに調査を開始した」としている。
鴻海精密工業の鄭州工場
Photographer: Qilai Shen/Bloomberg
鄭州工場は「iPhoneシティ」とも呼ばれる巨大施設。報告書によると、3-9月の労働者数は15万-20万人だったが、派遣労働者が全体の50%以上を占めており、「中国の法律が定める上限の5倍」に当たるという。
報告書はさらに「大半の労働者は週60-75時間勤務しており、中国の法定上限やアップルが独自に定める週60時間の上限を大きく超えている」と指摘。同工場にはアップルの社員が常駐しており、アップル側が「労働環境について認識していた」ことを示すと主張している。
フォックスコンは差別は容認しないとし、労働者の健康と安全を最優先にしていると説明した。また「全ての利害関係者との建設的な対話を歓迎し、改善策や進捗(しんちょく)について共有する用意がある」としている。
原題:Workers Allegedly Faced Tough Conditions Building iPhone 17 (1) (抜粋)
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