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Reuters
掲載日
2025年9月25日
ファッション小売大手H&Mは、ブラジルやインドなどの新興市場での事業拡大を目指していると、同社のCEOが木曜日に明らかにした。欧州という中核市場で消費が弱含むなか、第2の市場である米国では関税が需要を圧迫していることを受けた動きだ。
COS
新規市場への展開は、ブランドの訴求力を高め、ファッショントレンドへの対応速度を上げることで、世界最大級のアパレル小売企業である同社の業績を立て直し、収益性を向上させることを狙うダニエル・アーヴァーCEOの戦略の一環だ。
同社は、インディテックス傘下のZaraやシーインとの競争に対抗を図っている。
H&Mは8月、サンパウロの高級モールにブラジル1号店をオープンした。11月末までにさらに2店舗、2026年にはリオデジャネイロを含む4店舗の出店を計画している。
「まだ十分に開拓できていない市場のいくつかでは、より大きな成長機会が見込めます。ブラジル、ラテンアメリカ全般、そしてインドがその例です」とアーヴァー氏はロイターに語った。
アーヴァー氏は、第4四半期の米国の消費需要について慎重な見方を示した。消費者マインドが低下するなか、米国の輸入関税が一部の小売業者に値上げを促しているためだ。
ブラジルやその他の新興市場での拡大は、パンデミック以降にH&Mが世界的な店舗網を大幅に縮小し、急速に閉店を進めてきた流れと並行している。
H&Mの世界店舗数は2019年末のピークから19%減少し、先月末時点で4,118店舗と2016年半ば以来の低水準となった。2025年中に、成熟市場を中心に合計200店舗を閉鎖する予定だ。Zaraを擁するインディテックスも、7月末時点で店舗数を5,528店に減らした。
新規地域への進出に加え、H&Mは、スタイルに敏感な消費者に訴求するため、パリのル・マレ地区や上海の淮海路など、観光・ショッピングの一等地に旗艦店を開設している。
ダンスク・バンクのアナリスト、ダニエル・シュミットは、ブラジルでの拡大がどれほどのスピードで業績改善に結びつくかは不透明だと指摘した。
「これが来年の売上成長にどの程度影響するかは、まだ不透明です。ただ、これまでのところ好意的に受け止められているのは心強い」とシュミット氏は述べた。
149ドルのドレスや299ドルのカシミアニットなどを展開するH&Mのプレミアムブランド、コスは、第4四半期中にデリーに店舗を構え、インドでの展開を開始する予定だとアーヴァー氏は述べた。
「多くの新興市場では、手頃な価格のラグジュアリーというポジショニングに大きな機会があります。インドは、Cosにとって探求すべき非常に興味深い市場のひとつです」とアーヴァー氏は述べ、今後数週間のうちにインドを訪問する予定だと付け加えた。
H&Mはまた、ラテンアメリカでの一層の展開も計画しており、第4四半期にはベネズエラ、来年にはパラグアイでの出店を予定している。今月初めにはエルサルバドルに出店したばかりだ。
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