アフリカのコンゴ民主共和国で再びエボラ出血熱が流行しているとして、米疾病対策センター(CDC)が健康情報を出した。今回の流行では9月18日までに37例の症例が確認され、19人が死亡している。
CDCは8日に渡航情報も発令。コンゴへの渡航者に対し、症状のある人との接触を避け、流行発生地域滞在中および発生地域を離れた後の21日間は、エボラの症状について自身で経過観察を行うよう促した。
救急・臨床医療に詳しいジョージ・ワシントン大学のリーナ・ウェン准教授によると、エボラ熱はウイルスによって引き起こされる感染症で、世界保健機関(WHO)によると致死率は約50%。コンゴでの流行は1976年以来、16回目。
エボラ熱の潜伏期間は2~21日だが、平均すると感染してから8~10日で発症する。最初は発熱、関節痛や筋肉痛、激しい頭痛、倦怠(けんたい)感といった症状が表れ、4~5日たつと嘔吐(おうと)や下痢、目・口・鼻・直腸からの出血などを発症。臓器不全や発作、脳炎などに見舞われて死に至ることがある。
発熱や関節痛、倦怠感などが初期症状として挙げられる/John Wessels/AFP/Getty Images
エボラ熱のウイルスは、感染者の血液や体液に触れることで、主に人から人へと感染する。感染者の体液が付着した寝具や食器、衣類、医療器具などから感染することもある。
米国では現在、二つの治療法が食品医薬品局(FDA)に認可されている。ただし治療を受けても依然として致死率は高く、使用する薬剤は高額で輸送も困難なことから、エボラが流行しているサハラ砂漠以南の国で入手することは難しい。
ワクチンはFDAが2019年に「エルベボ」を承認。欧州でも別のワクチンが承認されているが、米国では使用できない。
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