ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.09.25 13:11
世界銀行がアルゼンチンに40億ドル(約6000億円)の資金を迅速に投入し、トランプ米大統領の中南米友軍確保に賛同する姿だ。韓国政府の通貨スワップ要求に消極的に対応した米国政府が、アルゼンチンに対しては可能な各種支援策に言及し、その翌日に出てきた決定だ。反左派などを前面に出す「理念的同志」、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領に対するトランプ大統領の強い支持があったからこそ可能だという解釈が出てくる。
23日(現地時間)のロイター通信などによると、世界銀行はこの日、数カ月間にアルゼンチンに最大40億ドルを投入すると明らかにした。核心鉱物分野開発プロジェクト、観光活性化、エネルギー接近性拡大などアルゼンチンの改革議題を支援することを理由とした。公共部門資金調達と民間部門投資を結合したパッケージ形態で、世界銀行が4月に発表した内容の一部を操り上げて進めるという趣旨と解釈される。当時、世界銀行はアルゼンチンに国際通貨基金(IMF)が200億ドル規模の貸出契約を承認したが、その後続措置として120億ドル規模の資金を調達することにした。
世界銀行の今回の計画は、アルゼンチンで政治的に追い込まれたミレイ大統領を助けようというトランプ大統領の意中が反映された措置という解釈が出ている。トランプ大統領はこの日、国連総会に出席したミレイ大統領と会い、世界銀行の資金投入に言及した後、「アルゼンチンに(IMF)救済金融は必要だと思わない」とし「ミレイ大統領の再選挑戦を支持する」と述べた。IMFの最大債務国であるアルゼンチンでは救済金融よりも大きな贈り物だ。
ベッセント米財務長官も前日、「アルゼンチンはラテンアメリカで米国の重要な同盟国」とし「財務省はアルゼンチンを支援するために任務の範囲内で必要なすべてのことをする準備ができている」と説明した。そして通貨スワップをはじめ、直接的な通貨買い入れ、財務省の為替安定化基金(ESF)を通したドル建て国債買い入れなどを具体的な支援案に挙げた。韓国政府が3500億ドル規模の投資を米国にする代わりに安全装置として通貨スワップを要求したことに米国政府が明確な返答をしていない状況とは対照的だ。
ミレイ大統領が米国の全幅的支援を受けるのは親トランプ性向のためだ。ミレイ大統領は減税・緊縮財政など経済分野だけでなく左派勢力を批判するなど、思想的にもトランプ大統領と似ている。昨年11月の米大統領選挙後に外国の首脳ではトランプ大統領と最初に会い、2月にはトランプ大統領の側近だったイーロン・マスク氏にチェーンソーを伝達するパフォーマンスをした。ミレイ大統領は左派ポピュリズムなどアルゼンチンの弊害を一掃するというスローガンで2023年の大統領選挙で当選した。
トランプ大統領はミレイ大統領に会った席でトゥルース・ソーシャルに載せた掲示物の一部を印刷した紙を渡し、信頼を表した。この紙には「アルゼンチン国民のための立派で強い指導者」「詐欺師ジョー・バイデンと似た前任の急進左派大統領から崩壊した経済を引き継いだが、安定に導いた人物」などと、ミレイ大統領を高く評価する内容があった。
ミレイ大統領は中国が主導する経済協議体BRICSへの不参加を公式化するなど中国牽制の側面でもトランプ大統領側に立っている。サプライチェーン再編をめぐり対中国依存度を減らす必要がある米国の立場でも、鉱物保有国のアルゼンチンの親米・反中路線は無視できない。マンガート・キャピタル・マネジメント設立者のクラウディオ・ザンバ氏はブルームバーグ通信に「米国にとってミレイ大統領は単なる経済パートナー以上」とし「中南米で米国中心ブロックを形成するうえでミレイ大統領は戦略的・地政学的同盟」と話した。
しかしミレイ大統領が直面している状況は厳しい。ミレイ大統領の緊縮財政・為替防御政策はアルゼンチンの物価上昇率を2024年4月の289%から8月に34%に引き下げたが、成長鈍化、外貨準備高の減少など副作用も招いた。このため民心が悪化し、今月初めの地方選挙で大敗した。来月の総選挙と2027年の大統領選挙でも苦戦が避けられないと予想される。
さらにミレイ大統領の秘書室長である妹カリーナ氏の腐敗スキャンダル、利上げと流動性供給を行き来する通貨政策は現政権に対するアルゼンチン人の不信感を深めている。米ジョージタウン大アメリカ研究所のヴェルナー所長はフィナンシャルタイムズ(FT)に「国際公的金融の可用性だけでアルゼンチンを立て直すことはできない」とし「政治勢力が一貫性のある経済政策を支えてこそ安定が訪れるだろう」と話した。
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