オーストラリア統計局が24日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%上昇し、過去1年で最も大幅な伸びとなった。写真はシドニーの青果市場。2017年6月、シドニーで撮影(2025年 ロイター/David Gray)
[シドニー 24日 ロイター] – オーストラリア統計局が24日発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.0%上昇し、過去1年で最も大幅な伸びとなった。これを受け、早期の利下げ観測が後退した。
予想中央値は2.9%上昇、7月実績は2.8%上昇だった。ベース効果が加速の主な要因となった。
豪ドルは0.3%上昇し1豪ドル=0.6619米ドル。3年物国債先物は7ティック下落し96.45と、3週間ぶりの安値をつけた。
市場はオーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)が今月の会合で政策金利を3.6%に据え置くとの見方を維持した一方、11月の利下げの確率は、統計発表前の約70%から50%に低下した。
8月のCPIは前月比では横ばい。政府の新たな補助金で電気料金が6.3%下落したほか、休暇旅行・宿泊料金も3.5%下落した。
コアインフレ率の指標として注目されるCPIのトリム平均値は前年比2.6%上昇し、7月から0.1ポイント鈍化した。変動の激しい項目と旅行を除いた上昇率は3.2%から3.4%に加速した。
特にサービス部門など統計の詳細は、第3・四半期のインフレに一定の上振れリスクがあることを示唆しており、バレンジョーイ、ドイツ銀行、ナショナル・オーストラリア銀行、マッコーリー、シティ・オーストラリアは11月の利下げ予想を撤回した。
バレンジョーイのアナリストは顧客向けノートで「どの尺度で見ても、これは大幅な上振れサプライズであり、詳細な内容は懸念される」とした上で、2026年前半にはまだ利下げの余地があるとの見方を示した。
ナショナル・オーストラリア銀行は来年5月まで政策金利が3.6%で据え置かれると予想。これまでは11月と来年2月の2回の利下げを予想していた。
コモンウェルス銀行も11月の利下げは既定路線ではないと述べた。
中銀は月次のCPIについて、依然として変動が大きすぎるとして、さほど重要視しない姿勢を示している。今年2月、5月、8月の利下げは四半期インフレ指標を見極めた後に行われた。
8月のサービス部門では、レストランでの食事、持ち帰り食品、視聴覚サービスの価格上昇が加速した。
新築住宅価格も前年比0.7%上昇と、0.4%上昇から加速。家賃は前年比3.7%上昇と、2022年後半以降で最も低い上昇率だった。
ドイツ銀行のチーフエコノミスト、フィル・オドノヒュー氏は「もう1つの弱いデータがあれば、理事会が利下げを進めるのに十分かもしれないが、月次の雇用統計は振れが大きく、ハードルは高い。このため、11月の利下げ確率は現在50%を下回ると考えている」と述べた。
一方、HSBCのチーフエコノミスト(豪州・ニュージーランド・グローバル商品)、ポール・ブロクサム氏は「今回のデータは、中銀が来週、政策金利を据え置くという当行の見解を変えるものではない。今年11月と来年2月に利下げを実施する可能性が高い」と述べた。
IGのアナリスト、トニー・シカモア氏は「今日のインフレ統計は、中銀が慎重な利下げサイクルを継続することを示している。9月は『ノー』だが、11月はまだ『ゴー』だ」と指摘した。
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