もてなし空間 茶の宇宙 組み上げた竹+円状の畳 風雪耐えた土蔵の味わい 27、28日 金沢の農家民宿で

吹き抜ける風も感じながら茶を楽しめる空間=金沢市福畠町のととのやで

 里山の自然、土蔵の歴史性を生かして二つの茶空間をしつらえ、その世界にひたる茶会「農家の中の 茶の宇宙」(北陸中日新聞後援)が27、28両日、金沢市福畠町の農家民宿ととのやで催される。プロデューサー岡本恭子さんは「さまざまなものを捨て去り、もてなしの原点に戻った茶空間。その精神性を全身で感じてほしい」と呼びかけている。 (沢井秀和)

 新たにつくったのは、民宿周辺の竹を切り出して作った竹の茶空間と、土蔵を生かした茶室。

 竹による空間は、畳が円状に敷かれる。何本もの竹がクロスして空間を生み出す。掛け軸は、庭先に生い茂る竹林、自然。静かに座り、自然の息吹を感じるという禅語「閑座聴松風(かんざしてしょうふうをきく)」の世界観を具現化したよう。

 金沢市内のガラス製造工房に勤務する佛木(ほてぎ)直道さん(36)が、竹のしなやかさを生かして完成させた。佛木さんは「竹の青いにおいが感じられる。宇宙に開かれた空間でありながら、この土地としっかりつながっている」と説明する。

 土蔵の茶室も土着性がある。築80年ほどの土蔵は、壁にわらが練り込まれ、農家の土蔵として長い風雪に耐えてきた味わいを感じさせる。掛けられる軸は「一行三昧(ざんまい)」。一つのことににひたすら打ち込むことを意味するという。

 岡本さんにとって2007年からアート、音楽とのコラボレーション茶会、若手工芸家に道具作りをしてもらってきた試みの集大成。「一つの区切りとなるいい茶席ができた。もてなしという原点に回帰できた」と話している。

 茶わんは、長く作陶してきた2代・開発文七さん、最近、開発さんの指導で作り始めた鈴木秀和さんの作品などが使われる。

 茶会は茶の湯文化を広く普及している次世代茶道具振興プロジェクトが、いしかわ県民文化振興基金の助成を受けて催す。

 参加費は2千円。茶席は午前10時〜午後3時に計12回用意されている。(問)事務局info@coolkanazawa.com

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