米国は欧州連合(EU)から輸入される自動車に対する関税を15%に引き下げ、8月1日にさかのぼって適用する。約2カ月前に合意した通商枠組みの条件を確定した。

  米商務省と米通商代表部(USTR)は9月24日、幅広い品目の関税引き下げを盛り込んだ文書をオンラインで公表した。今回の措置は、スコットランドにあるトランプ米大統領のゴルフ場で発表された通商合意の詳細を実行に移す手続きで、双方の緊張緩和をさらに進めることになる。

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  連邦官報への掲載は、数週間にわたり関税引き下げの適用を待ちわびていた欧州自動車業界にとって朗報となる。EUから輸入される自動車はこれまで、従来の2.5%の関税に加え、25%の関税が課されていた。

  発表を受け、ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)、ポルシェ、メルセデス・ベンツグループの株価が上昇した。米国市場で輸入車のみを販売し、関税の影響を強く受けていたポルシェはフランクフルト市場で一時3.8%高となった。

  今回の告示には、航空機や航空機部品、ジェネリック(後発医薬品)とその原料に加え、コルクや特定の金属・鉱石など「入手不能な天然資源」の免除対象リストが含まれた。9月1日以降の分に適用され、対象品目には低率の最恵国待遇(MFN)税率が維持される。

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  新たな関税率の大半は9月1日以降に出荷されたEU産品に適用される。ただ自動車と部品については、EU側が米国の工業製品や一部農産物の関税を引き下げる措置を導入することを条件としていた。

  EUは8月28日にこの措置を実行に移し、現在は履行の手続きにある。これにより、トランプ政権が新たな自動車関税を遡及(そきゅう)して適用する道が開かれた。

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原題:US Cuts Tariffs on EU Cars to 15%, Cementing Trade Terms (1)(抜粋)

— 取材協力 Stefan Nicola and Max Ramsay

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