主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)は、レアアース(希土類)の世界的な供給を中国が支配するリスクへの対策として、西側企業の開発投資を促進する「最低価格制度」の導入や、中国からのレアアース類輸出の一部に課税することを検討している。写真はレアアースを運搬する港。2010年10月、中国の連雲港で撮影(2025年 ロイター)
[ブリュッセル/トロント 23日 ロイター] – 主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)は、レアアース(希土類)の世界的な供給を中国が支配するリスクへの対策として、西側企業の開発投資を促進する「最低価格制度」の導入や、中国からのレアアース類輸出の一部に課税することを検討している。事情に詳しい4人の関係者がロイターに明かした。
中国は今年4月、トランプ米政権の関税措置に対抗する目的で、レアアースとレアアース磁石の輸出規制を実施し、買い手に衝撃が走るとともに、欧州の各自動車メーカーは一時的な操業停止を強いられた。
5月になって中国は欧州企業へのレアアース輸出許可手続きの迅速化に合意し、7月にはEU向け輸出の改善を行ったものの、欧州企業側によると手続きが停滞する案件が増加し、再び操業停止に陥る恐れがあるという。
日本を除くG7諸国はレアアース磁石から電池用金属までさまざまな重要鉱物について、中国への依存が非常に大きいか、中国だけに依存し、安全保障リスクを抱えている。
この問題に対処するためG7は6月に「重要鉱物行動計画」を打ち出し、今月に米中西部シカゴで専門技術チームの会合が開催された。会合にはオーストラリアも加わった。
関係者によると、話し合いの中で議論された方策の1つが政府補助金を支えにした最低価格制度で、これは米国が最近、国内生産奨励のため導入している。オーストラリアも、レアアースを含む重要鉱物開発プロジェクトを後押しする最低価格の設定を独自に検討しているほか、カナダも最低価格の考えに前向きな姿勢とされる。
あるEUの高官は、EUとしては最低価格や共同購入、G7内での相互取引などさまざまな構想を模索しているが、まだ何も決まっていないと述べた。
一方2人の関係者は、中国から輸出されるレアアースや小規模の金属類に対して、生産過程で非再生可能エネルギーが利用された割合に応じて、炭素税のような課税を適用する案も協議されたと語った。
トランプ米政権当局者は、米国は関税や最低価格設定など、レアアースのダンピング(不当廉売)を防ぐための広範な貿易措置についてG7やEUと協議しているとロイターに語った。
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