トランプ米大統領のH-1Bビザの規制強化がインドのソフトウエア産業を揺さぶり、米インド間の緊張が高まる中、インド・ブータン駐在ドイツ大使のフィリップ・アッカーマン氏はインドの高度人材を呼び込みたい考えを示した。

  アッカーマン氏は、X(旧ツイッター)に投稿した動画で「われわれの移民政策は信頼でき、現代的で、予測可能だ。ドイツでは規則を一夜にして根本的に変えることはない」と強調し、インド人にとってドイツが安定性と「素晴らしい就業機会」の両方を見いだせる国だと呼びかけた。

Here is my call to all highly skilled Indians.

Germany stands out with its stable migration policies, and with great job opportunities for Indians in IT, management, science and tech.

Find your way to Germany to boost your career: https://t.co/u5CmmrHtoF pic.twitter.com/HYiwX2iwME

— Dr Philipp Ackermann (@AmbAckermann) September 23, 2025

  トランプ氏が19日、新規のH-1Bビザ申請に10万ドル(約1480万円)の手数料を課したことで、H-1Bビザの約3分の2を占めるインド人が大きな影響を受けている。2800億ドル規模のインドのITサービス産業では、数千人の雇用が脅かされている。

  一方、ドイツ経済は高齢化社会による負の影響を打ち消すため、毎年数十万人規模の移民を必要としている。アッカーマン氏はメッセージの冒頭で、インド人がドイツにおいて高所得者層に含まれることを指摘した。

  同氏は「ドイツで働くインド人の平均年収は、ドイツ人の平均年収を上回っている。高い給与は、インド人がわれわれの社会や福祉に大きく貢献していることを意味する」と語った。

  英国も世界のトップ人材を呼び込む計画を検討している。フィナンシャル・タイムズは今週、関係者の話として、英政府が一部の人材向けにビザ手数料を引き下げる案を模索していると報じた。欧州連合(EU)も、インド人学生に対して提供する奨学金の枠をここ数年拡大している。

  ドイツ学術交流会(DAAD)によると、特にドイツを中心に、欧州はインド人材の主要な渡航先として浮上しており、2023〜24年度にはインド人が全国際学生の13%を占めた。駐インドのドイツ大使館が示した調査によると、2025年初め時点でドイツに永住者として暮らすインド国籍者は、約28万人にのぼる。

  一方、米国はインド人学生をドイツのほぼ6倍受け入れており、公式データによると、2024年には受け入れ人数が20万人を超えた。だが、トランプ氏がインド製品に50%の関税を課して以降、米インド関係は悪化している。ビザ規制の影響も相まって米国への学生流入は今後減少する可能性が高い。

 

原題:Germany Courts Indian Talent After Trump Targets H-1B Visas(抜粋)

WACOCA: People, Life, Style.