欧州とアジアで、防衛関連株が上昇している。米国のトランプ大統領が、北大西洋条約機構(NATO)加盟国は領空を侵犯するロシア機を撃墜すべきだと発言し、さらに、ウクライナの勝利の可能性に対し、より共感的な態度を示したことを受けた動きだ。
ゴールドマン・サックス・グループがまとめた欧州防衛企業のバスケット指数は、一時2.8%上昇した。業界大手のラインメタルは1.4%高、英国のBAEシステムズは1.6%高となった。スウェーデンのサーブは一時5.8%上昇し、過去最高値を更新した。
アジアでは、韓国株が上昇を主導した。国内最大の防衛請負企業であるハンファ・エアロスペースは最大5.9%高となり、史上最高値を付けた。同社は欧州西部のいくつかの国と、防衛産業の生産能力拡大に向けた協議を行っている。韓国航空宇宙産業と現代ロテムもそれぞれ4%以上上昇した。
日本ではIHIが約10%急伸し、TOPIX構成銘柄の中でも上位の上昇率を記録した。三菱重工業も5%超上昇した。オーストラリアのドローンシールドは、7%超高となった。
地政学的緊張の高まりと軍事予算拡大への期待を背景に、防衛関連株は世界的に有力な投資テーマとなっている。MSCI世界航空宇宙・防衛指数は今年51%上昇しており、世界株式全体の伸び率約17%を大きく上回っている。
フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルのユン・ジュンイン最高経営責任者(CEO)は「緊張が収束する兆しが見えない中、防衛企業の受注残は、今後数年間にわたり埋まるとの期待が広がっている」と指摘した。
原題:Defense Stocks Jump in Europe, Asia After Trump’s Ukraine Shift(抜粋)
— 取材協力 Youkyung Lee
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