中国国有の航空機メーカー、中国商用飛機(COMAC)は主力機C919の今年の納入目標をこれまで予定していた75機から25機前後に引き下げた。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。米ボーイングや欧州のエアバスに対抗するという野心的な計画は後退を余儀なくされた。
非公開情報を理由に関係者が匿名で語ったところでは、単通路機C919のほぼ全ての主要部品で供給に制約が生じており、安定したペースでの機体製造が難しい状態にある。COMACの担当者にコメントを求めたがすぐに返答はなかった。
中国商用飛機の単通路機C919
Photographer: SeongJoon Cho/Bloomberg
米政府は今年、米航空機エンジンメーカーのGEエアロスペースに対し、重要なエンジン部品のCOMAC向け輸出を禁止したが、7月に輸出禁止措置を解除していた。
COMACは米国のサプライヤーへの依存度が高く、ハネウェル・インターナショナルやGEエアロスペース、パーカー・ハネフィンなどから航空電子機器やフライト制御システム、エンジンを調達している。
関係者によると、COMACは今年に入り中東やベトナムの航空会社からの受注を楽観し、納入目標を50機から75機に引き上げていた。これはCOMACにとってサプライヤーからの調達難が想定外だったことを示す。
COMACのC919納入実績は今年、計5機にとどまる。納入先は国内3大航空会社の中国東方航空と中国南方航空、中国国際航空のほか、チャーター便を運航する子会社に1機を納めただけ。中国の3大航空会社は、今年計32機程度のC919の引き渡しを見込んでいた。
C919はエアバスA320neoやボーイング737MAXとの競合を目指して開発された座席数158-192席の旅客機だが、米連邦航空局(FAA)や欧州当局など海外規制当局からは耐空証明を取得できていない。中国の航空会社からの受注は堅調だが、南アジアや東南アジアでの顧客獲得に苦慮している。
原題:China’s Comac Said to Slash Delivery Targets for Its C919 Jet(抜粋)
— 取材協力 John Liu and Danny Lee
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